この時期になると「サツキ」と「ツツジ」と「シャクナゲ」の見分け方が話題にのぼることがあります。冬の時期における「ツバキ」と「サザンカ」の違いと同様、慣れない人にとっては難しいものですが、M&Aの世界にも「企業価値」と「株式価値」と「事業価値」という、似て非なる用語があります。

M&Aに関する情報を正確に理解するためにはこれらの用語の違いを知っておく必要があります。今回は「企業価値」「株式価値」「事業価値」の意味の違いと、それぞれの関係について解説したいと思います。

株式を譲渡するためには株式価値が不可欠

企業価値」「株式価値」「事業価値」といった情報が必要となるシチュエーションとしては株式を売買する場合などが典型といえるでしょう。買い物をするためには商品の値段を確認する必要がありますが、株式にはスーパーのように値札が付いている訳ではありません。

特に非上場会社では株価をいくらと考えるかは悩ましい問題です。また、上場企業の場合でも、証券取引所の相場はあるものの、市場取引ではなく相対で株式を譲渡する際にはやはり譲渡価格の問題に行き着きます。つまり、株式譲渡契約において譲渡価格を決定するためには「株式価値」などの情報が不可欠といえるのです。

会社は利益を生み出すマシーン

会社の価値について理解するためには会社の活動とはどのようなものかを考えてみることが有用です。会社は自己資金や金融機関からの借入金などをもとに利益を生み出す活動をしています。会社のバランスシート(貸借対照表)を見ると、右側には資本の調達源泉である負債(他人資本)や純資産(自己資本)が、左側にはその資本の運用形態を示す資産が掲載されていることがわかります。

【会社のバランスシート(貸借対照表)】

企業価値」と「株式価値」の関係もこれに似ています。会社全体の価値である「企業価値」から有利子負債を控除したものが「株式価値」となります。つまり、「株式価値」は対象会社の価値のうち株主に帰属する部分を意味します。これらの関係を算式で表すと「企業価値=株式価値+有利子負債」となります。