VCのベンチャー投資額は米国の20分の1以下

ファイナンス理論のセオリーでは、適切な投資対象が見いだせないなら「自社株買いや配当により株主へ還元すること」が正解です。しかし、個人的にはこれは日本経済に限っては正解とは思えません。やはり、賃金への配分、そしてM&Aやベンチャー投資に対する配分が必要なのではないでしょうか。

賃金については、現在政財界一体となってそういった長期トレンドの形成に注力していますし、M&Aは引き続き空前の水準で推移しています。一方で、ベンチャーキャピタルがベンチャー企業に投資する額は2017年度で1,800億円程度です。事業会社が自己資金でベンチャー投資をする金額(CVCを含む)を合わせても、おそらく2,000億円程度でしょう。これは米国の20分の1以下。GDP比率が2倍であることを鑑みても、10倍以上の差です。10兆円単位の巨額の現預金ポジションに対してあまりにも微々たる水準です。

弊社では、大手企業のM&Aアドバイザリーや戦略コンサルティング(主に自動車セクター)と並行して、自己資金によるスタートアップ投資を行っています。その過程で、大企業ではキャッシュの蓄積が進んでも、なかなか簡単にスタートアップへの自己投資やVCへのLP出資に踏み込みきれない実情を日々目の当たりにしています。

もちろんここ数年のオープンイノベーションの潮流もあり、そのような動き(スタートアップ投資やLP投資)が加速していることが事実です。

しかしこれは、ようやくスタートアップ投資の水準が数年後にようやく3,000~4,000億円には届くかもしれない、というレベル感の話でしかなく、80兆円の手元現預金の数パーセントにあたる、数兆円を超えるような額が動きそうだ、という話ではありません。どんぐりの背比べといったレベル感の話でしかないのです。 

なぜこのような状況が続くのか。これについては今後も分析が必要ですが、弊社では以下のような仮説を持っています。