M&Aの相続対策、経営者が知っておきたい相続の実態と基本用語(続き)

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相続に関わる基本用語について、さらに踏み込んで説明したい。相続税対策をしっかり行うためには、相続に関する実情や用語についてしっかり理解しておく必要がある。(前回の記事はこちら)。

遺産分割対策

相続が発生すると、法定相続人の間で遺産を分割する必要がある。ではこの遺産分割だがどのように行われるのだろうか? 遺言書がある場合と遺言書がない場合で遺産分割のやり方は大きく変わってくるのでしっかり理解してほしい。

▼遺言書がある場合…原則としてその指定に従う
 例:妻に全財産の 2/3、残りの 1/3を子どもたちと子供の嫁で均等に

▼遺言書がない場合…遺産分割協議をして相続分を決める

簡単に遺産分割協議といってもいざ行おうとすると非常に大変だ。なぜならすべての法定相続人の同意が必要になるからだ。同意をした証拠として署名捺印をもらわなければならない。すべての法定相続人が近くに住んでいればそんなに負担感はないかもしれないが遠くに住んでいる法定相続人がいると大きな負担になるだろう。

一方、遺言書があると相続手続きは非常にスムーズに進む場合が多い。M&Aを行い多額の資産が入金になった経営者は相続対策の第一歩として遺言書の作成を検討すべきだろう。

遺言や終身保険の活用

遺産分割対策として「遺したいを明確に」 しておく必要がある。遺言や終身保険を活用すれば 「誰に」「どれだけ」遺したいかを示すことができるからだ。また遺言や終身保険を活用するメリットはこれだけではない。

遺言や終身保険を利用することで流動性資金対策として「すぐに使えるお金」 を用意することができる。預貯金は遺産分割協議の対象財産のため、相続人全員の話し合いがまとまるまで、 銀行や証券会社の口座などは凍結されてしまう。その間の生活費や葬儀の費用などに大切な家族が困らないように遺言や終身保険を活用することで「すぐに使えるお金」を準備することができるのだ。

相続税の現状

2015年に相続税に大きな改正があった。ポイントは基礎控除の大幅な引き下げ。

▼2014年までは5000万円+法定相続人×1000万円
▼2015年から3000万円+法定相続人×600万円

なんと基礎控除は4割も減ってしまったのだ。基礎控除が大きく減ったため相続税の課税割合は激増した。

改正前の2014年の課税割合4.4%(5.6万人)から2015年の課税割合は8%(10.3万人)へと倍増したのだ。約100人のうち8人が相続税の対象になっている現状はしっかり理解しておく必要があるだろう。

相続税の軽減対策

相続税の計算には、相続財産が多いほど税率が高くなる累進課税という課税方式が採用されている。累進課税は所得税にも導入されているのでなじみがある方も多いだろう。つまり相続財産の評価額を減らすことが相続税の軽減対策になるのだ。この相続税の軽減対策に有効なのが生前贈与の活用だ。

生前贈与の活用・実情

贈与には主に3つの種類がある。毎年一定金額を贈与する暦年贈与・結婚子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置・教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置の3つだ。

2015年1月施行の税制改正で相続税は課税が強化される一方、贈与税については若年世代への資産の早期転換を促進するために税率の引き下げや各種特例の拡大が行われた。これにより贈与税の申告は増加傾向にある。

近年、贈与税の申告人は右肩上がりで増加しており、2015年度分申告人は約54万人となった。この増加傾向からも近年贈与に注目が集まっていることが想定される。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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