岡山在住M&Aアドバイザーの小林が贈る「2020年のベストディール」はこちら!

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「晴れの国」岡山でも事業承継は喫緊の課題…(写真は岡山城)

今年も「中小企業のM&A」と題する連載を担当しました。M&Aアドバイザーとして岡山を本拠地としています。そんな私の2020年の「ベストディール」を発表したいと思います。 

Nさんはコーヒー豆卸売を手がけ年商2000万円

▶きっかけ
2019年2月。知人の紹介によりコーヒー豆の卸売業を営むNさんを紹介された。本人は80歳を超えており、当初は長男への事業承継を考えていました。しかし、長男が会社勤め継続を強く望んだため、第三者への事業譲渡を考え、私のところへ来られた。業歴約50年の歴史ある事業ではあったが、個人事業主で年商も2000万円程度。そこで信頼のおけるブローカーのY氏を紹介した。

▶2019年6月
ブローカーY氏から、2人の候補者を引き合わせたものの、それ以上は進展せず、ブレイクしたとの報告があった。報告を受けた内容から察するに引き合わせた2人はいずれも個人の創業希望者ではないかと思われた。さすがY氏である。目の付け所が良い。

ただ、Y氏の口ぶりからNさんが数字に弱いこと、譲渡対象事業のエビデンス(決算書などの関係書類)が全くそろっていないことなどが挙げられ、これ以上の対応はY氏では困難であるとの申し出があった。

ブーメランではないが、紹介したディールが自分のところに帰ってくる話はこの業界よくあること。紹介者責任というほどのことでもないが、私の方から改めてNさんを訪問し廃業も視野に入れた対策の必要性を説明することでその日は終わった。

写真はイメージです

▶2019年12月
Nさんから久しぶりに連絡があり、近時の本人の体調不良話しや、第三者承継による事業継続に対する熱い思いを聞かされ、つい絆(ほだ)されてしまう(笑)。

▶2020年3月
Nさんの事業に関連する会社にアプローチするもやはり不発。これはある程度予想通りだった。そこで異業種にターゲットを変えてみたところ、「第二創業」を希望していた人物Fさんと出会う。「伝統や技術など、魅力を持った会社が廃業せざるを得ない状況を少しでも変えられたら」というFさんの言葉を信じ、Nさんを紹介してみた。

▶2020年10月
事業譲渡契約に向けた一連の交渉事や契約手続きを行い、無事成約となる。

Nさん「引継先に求めるのはやる気だけ」

 <Nさんインタビュー>
80歳を超え、体力の限界を感じ、いったんは廃業を決意した。焙煎豆の卸先のことが気掛かりで、様々な人に相談し、引継先に求めるものはやる気だけだと伝えた。「焙煎豆の卸業界なんて知らなくて当たり前、それよりも、自身の身一つで切り開いていく気概を持っている若者に引き継いでもらいたい」というのが私の希望だった。

様々な人と面談をしたが成就せず、落ち込んでいたところ新しい候補者としてFさんを紹介してもらった。繰り返し、面談を重ねる中で、やる気と誠意を感じて「この人に!」という思いが次第に強くなった。譲渡したからには焙煎以外には一切、口出しをしないつもりでいる。当社の名前だけでなく顧問の立場まで残してくれたFさんの気持ちに感謝するとともに、今までと違うやり方で思い切り頑張ってほしい。

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