当然、アプリをダウンロードをさせるのは、メディアの閲覧よりも難易度は高い。しかしdelyは調達した資金で動画コンテンツに磨きをかけ、SNSなどを中心としてユーザーの心をつかんだのです。ファンが醸成され、ダウンロード数を伸ばしました。投資家が期待をかけたのは、ダウンロードという壁を打ち破って次々とハートをつかむ、delyの巧みな戦略でした。

ヤフーがdelyを子会社化
ヤフー傘下での次なる事業戦略は?


広告モデルの限界が露呈することに

クラシルの最大の特徴はコンテンツの質の高さにあります。月間1000本以上の動画を作成しながら、SNSで目を引くほどの質を担保しているのです。しかしながら、ここに弱点がありました。アプリである点と、コンテンツにこだわりすぎている点です。クラシルは誰でも見られるメディアではなくアプリです。従って、純広告を出稿しすぎるとユーザー満足度が著しく低下する恐れがあります(うざいという感覚です)。必然的に企業とのタイアップ広告をメインとせざるを得ません。タイアップ広告はクックパッドほどの企業でも売上高で20億円程度。面倒で時間のかかるこの手の広告は、クライアント企業から敬遠される傾向にあります。

収入がそれほどないにも関わらず、コンテンツ作成に力を入れているので、当然人件費などの固定費が発生します。それが利益を押し下げている最大の要因です。アプリであるが故に手抜きができず、思うように広告出稿ができないというジレンマに陥ってしまいました。

そうなると、次はユーザーからの課金へと目が向きます。クラシルは月々480円で人気レシピのランキング検索ができるサービスを提供しています。しかし、有料会員の推移を公表しておらず、一般ユーザーに比べて伸び悩んでいると予想されます。

Yahoo!ショッピングLIVEに組み込むことでコマース事業を拡大か

ヤフーがdelyを子会社化して今後注力するとみられるのは、ライブコマース事業。ライブコマースとはライブ動画を見ながら、売り手側と買い手側がリアルタイムでコミュニケーションをとり、購買へと導く手法。Youtuberやインスタグラマーなどの有名人と会話をしながら商品を選ぶことで、購買意欲が高まりそうです。

ヤフーは2017年11月からアプリを通じて商品紹介と販売が可能な「Yahoo!ショッピングLIVE」をリリース。ユーザーとストアをリアルタイムでつなぐインフラを整えました。3000ストアに導入したものの、あまり盛り上がっている様子はありません。同社はクラシルを促進剤として、成長を加速させるつもりのようです。

ヤフーの2017年度ショッピング事業売上高は前年度比31%増の6276億円。堅調に推移している一方、オークション関連取扱高は5%増の9000億円とほぼ横ばい。メルカリなどに市場を奪われて伸びしろがなくなっています。ライブコマースをユーザーとストアに浸透させ、新たな価値提供をする必要があるのです。

ヤフーは広告事業も鈍化しています。2017年度の売上は前年度比6%増の3034億円。検索連動型、ディスプレイ広告とは別のプラットフォームが必要になってきます。その点、アプリは新たな出稿先として期待が持てそう。

delyはヤフーの傘下に入ったことで、じっくり腰を据えて本来の事業に向き合えるはず。どのようにして事業を発展させるのか、期待したいところです。

麦とホップ@ビールを飲む理由