米シリコンバレーを中心とする海外のベンチャーおよびテクノロジー関連のM&A情報を、TransCap代表で現地在住のコンサルタント坂崎昌平氏がレポート! 次のビジネスが今動き出している。(隔週連載。6回目の今回は2016年5月23日週および5月30日週の動きをレポート)

<ハイライト:コンピュータ・ビジョンのItseezをIntelが買収>

 半導体大手のIntelがItseezの買収を発表しました。Itseezは、2005年に設立されたコンピュータ画像認識・解析アルゴリズムの開発会社です。本社はカリフォルニア州サンフランシスコとなっていますが、70名を超える従業員のほとんどはニジニノヴゴロドというロシア第4の都市にいるようです。当初はデジタルプラネタリウムや歩行者カウンタも開発していたそうですが、現在はADAS(先進運転支援システム)、顔認証、3Dスキャナ向けのソフトウェアを提供しています。

 今回の買収は、Intelによるパソコン、サーバ向けCPUからIoT(モノのインターネット)へのシフトの一環として捉えられています。とりわけ自動運転など車載向けでは、機能安全、Over-the-airソフトウェア管理(無線通信でソフトウェアを更新する機能)と同様に、コンピュータ・ビジョンを大きな柱として位置づけており、今後はItseezが開発ロードマップの中で大きな役割を果たすとのことです。参考までにIntelが今年に入って発表したM&Aやベンチャー投資をリストアップしてみました。

 ・YOGITECHをIntelが買収(機能安全の半導体IP)
 ・ReplayをIntelが買収(3Dビデオ再生技術;170百万ドル)
 ・AscendingをIntelが買収(RealSenseカメラ × 無人機衝突回避アルゴリズム)
 ・産業向けデータ解析のMaanaが26百万ドルを調達(Chevron、GE、Intel、Shellも出資)
 ・機械学習プラットフォームのDataRobotが33百万ドルを調達(Intel、リクルートも出資)
 ・ホテル向け搬送ロボットのSaviokeが15百万ドルを調達(Intelも出資)

 Itseezは、もともとIntelが開発・公開したOpenCVというコンピュータ・ビジョン・ソフトウェアのオープンソースコミュニティを管理しており、OpenCVのライブラリをARMプラットフォームに最適化して加速するような製品も提供しています。そのあたりの経緯は詳しく分かりませんが、Itseezの創業者はもともとIntelの技術者としてOpenCVの開発に関わっていたようで、彼らがItseezを立ち上げた後にOpenCVを引き継いだということのようです。Intelにとっては元社員が起業したベンチャーを買収する、いわゆるスピンイン型のM&A案件とも言えるのかもしれません。

<その他のM&A案件>

ベンチャーおよびテクノロジー関連のM&Aとして下記のような案件も話題となりました。

・DemandwareをSalesforceが買収(CRM × Eコマース・ソリューション;28億ドル)
・Data DeviceをTransDigmが買収(航空機部品; 10億ドル)
・TicketbisをeBay/StubHubが買収(チケット売買; 165百万ドル)
・Target GroupをTech Mahindraが買収(BPO;164百万ドル)
・RecommindをOpenTextが買収(企業コンテンツ管理 × 情報検索;163百万ドル)
・NetBossをEnghouseが買収(ITサービス × ネットワーク監視)
・BrightPoint SecurityをServiceNowが買収(サービス管理 × サイバセキュリティー)