政治的混乱に揺れる韓国財閥、サムスンはM&Aで車載向けを強化

逆境にも関わらず堅調なサムスンの株価

 昨年の秋頃から日本やアメリカで飛行機に乗られた方は「サムスン電子(Samsung Electronics)製のスマートフォンGalaxy Note 7は安全上の理由により機内への持ち込みが禁止されています」といった異例のアナウンスを耳にされたことでしょう。

韓国経済の低迷や政治の混乱が深まるなかで韓国最大の財閥企業であるサムスンが大ピンチに陥っているように見えます。

・Galaxy Note 7の炎上・爆発事故によるリコールと生産中止--->1/23バッテリー設計が原因だったとする調査結果を発表
・韓国大手海運会社であるHan Jinの経営破綻によるサプライチェーンや輸出のロジスティクスの混乱
・朴大統領の不正疑惑が波及して事実上のトップへの逮捕状の請求--->1/19ソウル中央地裁が請求を却下

ところが、サムスン電子の株価をチェックしてみたところ意外なことにとても堅調に推移しています。問題のバッテリーを供給していたグループ企業のサムスンSDIの株価も昨年11-12月を底にかなり持ち直しています。

【サムスン電子の株価推移;過去1年間】

【サムスンSDIの株価推移;過去1年間】

株式市場で投資家はサムスンに何をみているのか?

 サムスンの売上高は韓国のGNPの2割前後を占めるということがよく言われますが、サムスン電子の2015年の売上高に占める韓国の割合は10%に過ぎません(アメリカが34%、中国が15%)。

韓国の国内経済の低迷や政治の混乱が深まるなかで投資家はリスク回避や安全志向を強めており、サムスンのように財務的に安定していて米国経済の回復の恩恵を受けるグローバル企業へのシフトが進んでいるようです(サムスンは1997年のアジア通貨危機そしてIMFショックの逆境をを乗り越えて飛躍したという実績もあります)。

PwCによる監査済みの財務報告書によれば、サムスン電子の2016年(1~9月)の売上高は$128B、当期利益は$18B、前年同期からほぼ横ばいの結果となっています。2016年9月末時点の純資産は$155B、現預金残高は$68Bでした。トラブルの影響を本格的に受ける2016年第4四半期以降の数値の発表が待たれるところですが、これまでのところスマホ市場が成熟し中国企業が台頭するなかでよく踏んばっていると言えそうです。

(注)この記事の作成中に2016年の決算発表がありました。売上高は前年に比べて微増、営業利益は11%増加とのことでした。ドル建ての数字を含む監査報告書はまだ発表されておらず前述の数値との比較はできていません。