米シリコンバレーを中心とする海外のベンチャーおよびテクノロジー関連のM&A情報を、TransCap代表で現地在住のコンサルタント坂崎昌平氏がレポート!今週はシスコがネットワークセキュリティ会社のObservable Networksの買収を発表したニュースを取り上げます。

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伝説のベンチャーキャピタリストとサンフランシスコ現代美術館

先週とても久しぶりにSFMOMA(San Francisco Museum of Modern Art:サンフランシスコ現代美術館)に行ってきました。3年間にわたる拡張工事がすんで昨年5月に再オープンしてから初めてです。

展示についての紹介や批評は控えさせていただきますが、常設ギャラリーの一角、寄贈者のプレートに見覚えのある名前がありました。Toni and Arther Rock Gallery、帰宅してからネットで調べてみたところ、やはりベンチャーキャピタリストのアーサー・ロック氏でした。

SFMOMAのスポンサーとしては、GAP(アパレル)やCharles Schwab(オンライン証券)の創業者ファミリーが有名ですが、シリコンバレーで成功した起業家や投資家も少なくないようです。

インテルやアップルにも投資したアーサー・ロック氏

アーサー・ロック(Arthur Rock; 1926~)氏は、ニューヨークのインベストメントバンカーでしたが、カリフォルニアへの出張で(当時ショックリー半導体研究所からのスピンアウトを画策していた)ロバート・ノイス氏らと出会い、創業資金の調達に尽力します。

そして、1957年に設立されたフェアチャイルド・セミコンダクターは、後にインテルなど多数の半導体関連ベンチャーの起業家を輩出し、シリコンバレー発展の契機となりました。その後、ロック氏は西海岸に拠点を移し、インテルやアップルに投資するなど、シリコンバレーの草創期を代表するベンチャーキャピタリストとして知られています。

シスコがネットワークセキュリティ会社を買収へ

話は変わりまして、シスコがObservable Networksの買収を発表しました。Observable Networksは2011年にミズーリ州セントルイスで設立されました。これまでに6百万ドルを調達しており、従業員数は20人前後とのことです。創業者はセントルイス・ワシントン大学のコンピュータサイエンス教授です。

クラウドや企業ネットワークの末端に接続された機器の動作をモデル化することで、誤警報を抑えつつリアルタイムかつ低コストで異常や脅威を検知できるツールをサービスとして提供しています。月額料金は、クラウドで1EMF(Effective Mega Flow:ログデータ1百万行相当)当たり4ドル、企業ネットワークで1端末当たり2.75ドル、産業IoTで1端末当たり4.25ドルとなっています。

買収の狙いは? クラウドセキュリティのサービスを強化するシスコ

シスコによるObservable Networksの買収には、クラウドセキュリティのサービスを強化する狙いがあります。シスコはStealthwatchというネットワーク可視化およびセキュリティ解析のソリューションをもっていますが、もともとクラウド向けに開発されたObservabale Networksは、AWSやMicrosoft Azureといったクラウド環境でより簡単に使うことができます。

シスコはちょうど1年くらい前にもCloudLockというスタートアップを買収しました。Cloudlockもクラウドネイティブなセキュリティプラットフォームで、G Suite、Salesforce、Dropbox、Office 365といった、クラウドアプリのデータ保護をサービスとして提供しています。