米シリコンバレーを中心とする海外のベンチャーおよびテクノロジー関連のM&A情報を、TransCap代表で現地在住のコンサルタント坂崎昌平氏がレポート! 次のビジネスが今動き出している。(隔週連載。7回目の今回は2016年6月6日週および6月13日週の動きをレポートします)

<ハイライト:MicrosoftがLinkedInとWand Labsを買収>

 先週、MicrosoftがビジネスSNSのLinkedInを262億ドルで買収すると発表しました。

 Microsoftが伸び悩み気味のLinkedInを買ってどうするのかという戸惑い、また、2年前にNokiaから76億ドルで買収した携帯端末事業の不振(これまで1万人近い解雇や86億ドルの評価減を発表。最近、スマホを除く携帯端末事業のFoxconnへの譲渡を発表)もあり、メディアでは懐疑的な見方が多かったように思います。

 Linkdeinの2016年第1四半期の売上高は前年比35%増の8億6千万ドル(登録会員数は前年比19%増の4億3千万人)でした。そのうちオンライン販売が38%で、残る62%は法人向け営業経由です。ソリューション別では、人材採用が65%を占め、マーケティング(広告)が18%、プレミアム会員が17%となっています。株式公開から5年が経過していますが、5千万ドル弱の赤字を出しています。

 法人顧客向けソリューション販売の比重が高いという点では、LinkedinはMicrosoftとの親和性が高いのかもしれません。とりわけMicrosoftのDynamics CRMには、顧客関係管理はもちろん人材採用ソリューションもあり、Linkedinとの商品面、営業面での連携が期待できます。また、インテリジェント・クラウドでの機械学習データ解析という観点では、SNSビッグデータへのアクセス自体にも大きな意味がありそうです。

 Microsoftが4、5年前に買収したSkype(IP通話サービス)やYammer(企業内SNS)は、Microsoftの傘下に入ってからも自社ブランドで事業を継続しています。2年前に25億ドルで買収したMojang(ゲーム開発)は、Minecraftが順調に成長していて、ゲーム部門の収益に貢献しているようです。Linkedinも当面は同様のパターンで独自成長を目指しつつ、グループ内でのシナジーを模索していくとみられます。

 同じ週、Linkedinの買収を発表した3日後に、MicrosoftはWandLabsの買収を発表しました。

 WandLabsは、スマホのチャットでアプリの機能を操作できるようなボットのAPIを開発していました。こちらは狙いが分かりやすい買収で、WandLabsのメンバーはBing(検索エンジン)やバーチャル・パーソナル・アシスタントの開発チームに合流、Microsoftが提唱し始めたConversation-as-a-Platformを推進していくそうです。本連載の第3回でご紹介した会話ボットの技術開発を強化するものです。

 よい機会なので、Microsoftの現在の事業構成と最近の買収について、簡単にまとめてみました。