1 はじめに

 東証一部上場企業であるKLab株式会社は、平成28年3月7日のプレスリリースで「信託活用型新株予約権インセンティブプラン」を導入することを発表しました。

 我が国の上場企業で信託を活用した新株予約権(以下「信託活用型新株予約権」といいます)が導入される例は珍しいものといえますが、かかる仕組みは上場会社のみならず、株式公開を目指す非上場会社においても有用性が高く、検討するに値するものと思われます。

 そこで、以下では、新株予約権の基本的理解及び問題点を踏まえ、その問題点を克服するための信託活用型新株予約権の仕組みを概観し、メリット等をご紹介させていただきます。

2 ストック・オプションについて

 いわゆるストック・オプションは、発行会社がその役職員(あるいは子会社その他の関係会社の役職員)に報酬として無償で付与する自社株式オプションであり、我が国では会社法上の新株予約権を利用することが多く行われています。

 新株予約権を利用したストック・オプション(以下、単に「新株予約権」といいます)は、株式公開を目指す非上場会社においても、設立当初からの人材の功労に報いるためや優秀な中途採用者の採用といった目的のために頻繁に用いられています。

 この場合、発行価額を無償とし、行使価額を発行時の時価(したがって、発行時期が早いものほど行使価額は低廉であることが通常です)とするなどして、税制適格ストック・オプションとして設計する例が典型的といえます。これにより、取得者には新株予約権の付与時、権利行使時の課税がなく、権利行使により取得した株式を売却した時点で初めて課税されることとなり、あらかじめ資金拠出をする事態を避けることができます。