株式併合による少数株主対策
株式併合(会社法第180条~182条)とは、発行済株式100株を1株にする等、株主の議決権割合を変えずに、一定の割合で発行済株式を減少させる手続きであり、株券発行費用の節約やその管理の簡略化等のメリットがあります。
また、株式併合の割合によっては、所有株式が1株未満となるいわゆる端株が生じる場合があり(株主Aの所有株式が50株の時、100株を1株とする株式併合を行うと、株主Aの所有株式は0.5株の端株となる)、端株は会社法施行時に廃止されたため、端株しか有しなくなった株主は、端株分の対価を交付されて株を取り上げられることとなります。
これを逆手にとって、株式併合は少数株主を追い出す手法(スクィーズアウト又はキャッシュアウト)としての側面もありました。
しかし、株主総会の特別決議があれば少数株主は追い出されてしまうにも関わらず、交付される対価の交渉等の法的整備が進んでおらず、少数株主の保護が不十分で法的安定性を欠いていたため、実務上はスクィーズアウトの手法としてはあまり活用されていませんでした。
そのような中、事業承継や株主の相続等で会社側の意図しない株主が現れるようになり、スクィーズアウト等の少数株主対策の必要性が増してきたため、平成27年5月1日の会社法改正によって株式併合にかかる少数株主の保護手続きが明文化され、積極的に株式併合によるスクィーズアウトを活用できるようになりました。
同様の制度として特別支配株主の株式売渡請求(前回のコラムをご参照ください)がありますが、保有株式の要件が10分の9以上と比較的厳しいのとは対照的に、株式併合については従前通り株主総会の特別決議があれば実現可能ですので、より広く活用されていく手法だと思います。
本年10月より、登記手続きに際し株主総会決議や株主全員の同意を要する場合には株主リストの添付が必要となりましたので、これを機に少数株主様の整理を検討されてはいかがでしょうか?
文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
Vol.114 2016.11.30メールマガジンより転載