スピンオフの手法には2種類ある

スピンオフの手法にはいくつかの方法が考えられますが、主要なものとしては、①特定の事業部門を切り離すために新設分割を活用する方法、②子会社を切り離すために現物配当を活用する方法があります。

このうち①の新設分割を活用する方法では、分割承継法人が発行する株式を分割法人の株主に対して交付する分割型分割が想定されます。また、②の子会社を切り離すために現物配当を活用する方法では、スピンオフされた会社の株式を親会社の株主に現物配当することが想定されます。

スピンオフの2つの手法】

(出所:平成30年4月経済産業省「「スピンオフ」の活用に関する手引」)

スピンオフの事例は?

2015年7月、WEB決済サービスのPayPalがネットオークション大手のeBay からスピンオフしてNASDAQ市場に上場しました。PayPalは当初のIPOから間もない2002年7月にeBay傘下に入っており、2015年のNASDAQ市場への上場は再上場と位置付けられます。

PayPalはFinTech企業の先がけとして汎用性の高いサービスを提供していましたが、eBay傘下にあると取引先が限定され、eBayにとってもPayPalにとっても好ましい状況ではありませんでした。

そうした状況を打破するために行われたスピンオフは市場にも好感され、eBayとPayPalを合わせた株式価値の合計はスピンオフの前よりも上昇することとなりました。

スピンオフへの障害は?

以上のように、スピンオフは経営の機動性を高め、市場にとっても魅力的なグループ再編手法となり得ます。しかし、スピンオフを実施する際には株式譲渡損益や配当に対する課税の問題などにも気を付けなければなりません。

こうした課税上の問題に対しては平成29年度および平成30年度の税制改正で一定の手当がなされています。これらの改正内容については次回以降に改めてお伝えできればと思います。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)