スシロー 高ROEの秘訣は財務レバレッジ

くら寿司
財務健全性の高いくら寿司(画像は決算説明資料より)

次にROEとROA(総資産利益率)の比較です。ROEは自己資本を活用して、どれだけ効率的に純利益を出したか見るものです。一般的に10%を超えると優良企業と言われています。

ROAは企業の総資産を活用して、どれだけ効率的に利益を得ているか見るものです。ここでは本業での利益を比較するため、営業利益を使います。

〇大手回転ずしチェーンのROE・ROA比較

ROEROA
スシロー 21.0%10.7%
くら寿司 14.4%8.0%
かっぱ寿司 1.2%2.2%

やはりスシローの強さが目立ちます。効率的に会社の資産を活用して稼ぎ、純利益も出していることがわかります。ROEが20%を超えるのは超優良企業です。

高ROEはいったい何に依存するのでしょうか? 大きな要因の一つが借金です。金融機関からの借り入れ(2019年9月期末の段階でおよそ366億円)を有効に活用していることが、スシローの強さを支えています。それは、どういうことでしょうか?

ROEは純利益を自己資本で割ったものですが、実は3つの要素に分解されます。これをデュポン分解といいます。

【ROE=純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ】

総資産回転率は、売上高を総資産で割ったものです。総資産を使ってどれだけ効率的に売上を出しているか見るものです。財務レバレッジは総資産を自己資本で割ります。すなわち、他人資本(借金)にどれだけ依存しているのかを示すものです。

3社のROE要素を比較してみましょう。

〇大手回転ずしチェーンのROE分解

純利益率総資産回転率財務レバレッジ
スシロー 5.00%1.46 2.87
くら寿司 3.87%2.24 1.5
かっぱ寿司 0.18%2.61 2.45

実はスシローは、総資産回転率が3社の中で最低です。これは、総資産がある割に売上を出していないことを意味しています。しかし、借入金を上手く活用して(レバレッジをかけて)いるので、自己資本で効率的に利益を出していると見ることができます。

くら寿司は無借金経営です。日本では無借金経営信仰が根強く残っていますが、3社を比較すると、借り入れによって経営効率を上げられることがわかります。借金は必ずしも悪ではありません。

かっぱ寿司は総資産回転率、財務レバレッジが高い水準にありますが、純利益率が低い状態です。同社は2019年3月期に退店費用などの特別損失10億円を計上しています。不採算店を閉店したことにより、貸借対照表の固定資産が目減りし(総資産が圧縮され)たために、総資産回転率は改善されました。しかしながら、他人資本(借入金など)に依存して退店(特別損失の計上)をしているために利益率が悪くなっているのです。

では、スシローはいつまでも安泰と言えるのでしょうか? 実は爆弾を抱えています。それが303億円の無形資産、のれんです。