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感染者急増!なぜ日本で新型コロナ対策が「出遅れた」のか?

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新たなフェーズは「物量勝負」

その結果判明した10人の感染者を隔離することにより、済生会有田病院は3月4日に外来診療を再開している。院内感染による地域医療の崩壊を食い止めたのだ。政府のガイドラインに従ったままであれば、10人の感染者が新たなクラスターとなっていただろう。

東京都はじめ多くの自治体は政府のガイドラインに従い、「火の粉」となる感染者を見逃してしまった。都では3月26日、2日連続で40人を超える感染者が確認されている。同28日には63人に達した。厚生労働省も同26日に「国内でCOVID-19が蔓延している恐れが高い」と発表している。事実上「クラスター対策特化型」の封じ込め戦略を放棄すると宣言したわけだ。

もはや日本でも感染者の爆発的増加は避けられない状況になったといえる。これから日本は感染爆発を抑え込む「公衆衛生」のフェーズから、大量の感染者をいかに効率的にトリアージし、重症化する前に食い止めるかという「臨床」のフェーズに移る。あとは押し寄せる患者への検査体制の強化と、病室、人工呼吸器、そして治療に当たる医療関係者をどれだけ確保できるかの「物量」勝負である。

ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は3月23日、COVID-19対策を戦争になぞらえて「戦争に勝利をもたらすのは、戦術や戦略でさえなく、兵站(ロジスティックス)と通信(コミュニケーション)である。対策の組織化、世界中で得られる教訓の迅速な活用、市民やより広い世界に向けての効果的な情報発信において最も巧みである者が、最も強い者となるだろう」と指摘した。

政府の「クラスター対策」は、決してムダだったわけではない。最小の医療リソース(資源)で感染爆発を2カ月間にわたって抑え込めたのは大きな功績といえるだろう。この2カ月間にわたる「時間稼ぎ」の間に、政府による新しい「臨床」フェーズへの「備え」がどれだけできたかが、日本でのCOVID-19による死亡者数を大きく左右することになる。

物量と情報の「備え」が大量感染死を防ぐ(Photo by Rory MacLeod)

文:M&A Online編集部

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