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感染者急増!なぜ日本で新型コロナ対策が「出遅れた」のか?

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クラスター封じ込めでスルーした「火の粉」

こうした事態を防ぐには、感染検査の網を広げるしかない。WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長が3月16日に「目隠ししながら火を消すことはできない。誰が感染しているのかわからずに、このパンデミックを止めることはできない。検査に次ぐ検査を。疑わしいケースはすべて検査してほしい」と呼びかけている。

「感染拡大を防ぐには検査に次ぐ検査しかない」と訴えるテドロスWHO事務局長(WHOホームページより)

メガクラスターは「感染に気付かない人たちによるクラスターが断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じる」ことで生じる。COVID-19は感染しても症状が出ない場合があり、発症しても多くの場合は発熱や咳などの軽症で済むことがエビデンス(現実の証拠)で、ほぼ証明されている。

日本でPCR検査を受けるためには、海外渡航者や感染者との濃厚接触者を除き、行政の「新型コロナ受診相談窓口(帰国者・接触者相談センター)」に電話などで事前相談する必要がある。先ずは自宅での経過観察を指示され、その間に症状が悪化した場合は病院で受診して医師が必要と認めればPCR検査を受ける手順だ。

政府は「医師が検査が必要と判断した患者でも陽性率は5%程度であり、検査数が少ないことで感染者を大量に見逃している可能性は低い」とみている。しかし、問題は感染しても症状が出ない、あるいは発症しても発熱や咳などの軽症で済んでいる大多数の感染者だ。

こうした感染者は症状が軽いので「風邪をひいたぐらいかな」と自己判断し、外出してウイルスを拡散することになる。政府や自治体が最も恐れているのはこれで、「外出自粛」の狙いは「市民をウイルス感染から守る」よりも、「市民がウイルスをまき散らすのを防ぐ」ことに重点を置いた戦略だ。

とはいえ「外出自粛」にも限界がある。無症状感染者や症状が収まった軽症感染者は、自分が感染者とは思いもよらず、通勤や買い物など最低限の日常生活を送るために出かける可能性が高い。

検査で自分が「感染者」であると分かれば、症状が軽いうちに回復したとしても、指定された期間は他人との接触を極力遮断するだろう。韓国では検査枠を拡大して感染者の洗い出しと隔離を確実にすることで首都ソウルでの感染拡大を防ぎ、国内感染のピークは終焉しつつある。

日本でも政府の指針とは逆に、検査件数を増やした自治体がある。2020年2月に和歌山県湯浅町の済生会有田病院でCOVID-19の院内感染が疑われたケースでは、検査対象を中国への渡航歴がある人や感染が確認された人との濃厚接触者に限定していた政府のガイドラインに従わず、仁坂吉伸県知事がPCR検査の徹底を決断した。

その頃の政府の指針では濃厚接触者ですら多くは検査をせず、自宅待機して自身の健康状態を観察するよう指示していた。一方、和歌山県は看護師や患者、家族はもちろんのこと、病院の仕入れ先の従業員に至るまで感染の可能性がある約470人全員に検査を実施した。

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