「救済」のDNAが岩手銀行をM&A支援に走らせる

コスト削減と同時に融資以外の業務を拡大しなくてはならない。M&Aによる紹介料や成功報酬を新たな収益源として育てる狙いもある。M&Aは金融との親和性が高く、金融機関が参入しやすい業界なのだ。

もう一つは岩手銀行のDNAともいえる「救済」の精神だ。グローバル競争や経営者の高齢化で最も打撃を受けているのが、地方の中小企業。とはいえ、規模が小さいだけで、国内はもとより海外でも通用する独自の技術やサービスを持つ企業も少なくない。

こうした企業がM&Aによって生き残るだけでなく、さらに大きな飛躍と成長を遂げる可能性も高い。岩手銀行は新たな中期経営計画で、地元企業の後継者不足をはじめとする地域経済の課題解決により収益を拡大する「共通価値の創造」(CSV)を掲げている。

M&Aビジネスに向けて準備は万全か(同社ホームページより)

M&Aは現在、圧倒的な売り手市場だ。「買いたい」企業は多いが、「売っても良い」企業は少ない。地域密着型の地銀であれば「売っても良い」企業を見つけ出したり、廃業を思い止まらせて「売る」ための説得をしたりと、「売り手」の発掘で強みを発揮できる。

ただ、M&Aの「買い手」は県内だけではない。むしろ東京や大阪、名古屋などに買収に積極的な企業が多い。今後は全国にM&Aの営業網を拡大する必要がある。そうなれば岩手銀行と同じくM&Aを新たな収益源と考える都市銀行との競争も厳しいだろう。

岩手銀行が目標とする2400社のM&Aを達成するには、全国に拠点を持つM&A仲介事業者や経営コンサルタントとの協業がカギになりそうだ。