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国内在来線最速の高速ローカル線が誕生した、実は「残念な理由」

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高速ローカル線の「共通点」

智頭線にはJRが京都駅と鳥取駅・倉吉駅を結ぶ特急「スーパーはくと」、岡山駅と鳥取駅を結ぶ特急「スーパーいなば」が乗り入れている。スーパーはくとは同130km、スーパーいなばは同120kmで運行中だ。普通列車も上郡駅と智頭駅の間で、ほくほく線のスノーラビットと同じく同110kmで営業運転している。

非電化ながら最高時速130kmで運転する「スーパーはくと」(Photo by Cheng-en Cheng)

智頭急行の2015年度の旅客運輸収入は13億7200万円で、およそ9割は特急の乗り入れ収入だ。関東という巨大市場の需要を得ていた北越急行に比べると、関西を市場とする智頭急行の売上規模は約3分の1。JR特急依存の体質もそのままだ。

それでも智頭急行の経営が長期的に安泰なのは、北陸新幹線のようなライバルが存在しないから。当然、山陰本線と並走する山陰新幹線が開通すれば、智頭急行も北越急行同様に赤字転落するのは間違いないが、今のところ着工のめどすら立っていない。

それにしても、なぜこうしたローカル鉄道で高速運転が可能なのか。実は高速ローカル鉄道には共通点がある。いずれも日本鉄道建設公団(現 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の建設路線ということだ。同公団は日本鉄道建設公団法に基づき1964年3月に発足した。

巨額の赤字が問題になっていた日本国有鉄道(国鉄)に代わって新線を建設し、完成した路線を国鉄に貸し付けや譲渡する会社だった。地方開発線(A線)、地方幹線(B線)、主要幹線(C線)、大都市交通線(D線)、海峡連絡線(E線)、新幹線(G線)、民鉄線(P線)などを手がけている。

圧倒的に多かったのが地方開発線および地方幹線(AB線)で、ほくほく線や智頭線もこれに該当する。ほとんどが計画段階ですら黒字が見込めないローカル線で、政治家が自らの票田(選挙区)に鉄道を引く(誘致する)「我田引鉄」の結果、建設されたものだ。

しかも、そのほとんどが過疎地を通過し、予定される運行本数も極めて少ないにもかかわらず、高架とトンネルを使うことで直線に近い高品位路線となった。このため工事費は国鉄時代に建設したローカル線を大きく上回り、国鉄の経営をますます困窮させる原因になる。

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