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国内在来線最速の高速ローカル線が誕生した、実は「残念な理由」

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高品位なのに高速化は想定していなかった鉄建公団

北海道白糠郡白糠町の白糠駅から同町の北進駅までの33.1 kmを結んでいた白糠(しらぬか)線のように、路線延伸したものの国鉄が2年間も引き取りを拒んだAB線すらあった。結局、白糠線は北海道出身の運輸大臣が介入して1972年にようやく延伸開業したが、わずか11年後の1983年には特定地方交通線廃止第1号として全線が廃止されている。

そもそも鉄建公団が高いカネをかけて高品位路線を建設した理由も、鉄道輸送の高速化ではなかった。トンネルや高架を多数建設することで工費をつり上げ、地元の経済効果を高めるためだったといわれている。つまり多額の工費をかけて建設した直線に近い線路の上を、ゆっくりと列車が走ることを想定していたわけだ。

2018年に廃止されたローカル線のJR三江(さんこう)線の場合、鉄建公団が施工した中間部の29.6kmはトンネルと高架が多いため最高時速は85kmだが、先行開通していた残る78.5kmの国鉄工事区間の最高時速は65km。高い工費を費やしたにもかかわらず、三江線のスピードアップには何ら貢献できずに全線開通から40年で廃止となった。

三江線宇都井駅は鉄建公団が施工した高架駅で「天空の駅」として話題に(Photo by Mitsuki-2368)

ほくほく線と智頭線は、開業直前にJR特急の乗り入れを前提にした高速化投資を追加している。鉄建公団が高品位路線として工事を進めていたことが両線の高速化を可能にしたのは事実だが、当初の建設計画では同100kmを超える高速運転は想定されていなかった。

そのため、ほくほく線で総工費の4分の1に当たる310億円、非電化で最高時速を130kmに抑えた智頭線でさえ21億5600万円もの高速化のための追加工事費がかかっている。智頭線がほくほく線同様の同160kmを実現するには、最低でも116億円は必要だったという。

高速ローカル線は鉄道が交通機関ではなく、地元にカネを落とし雇用をもたらしてくれる公共工事、いわば「金のなる木」として期待された時代の「徒(あだ)花」なのである。

主な高速ローカル鉄道

路線名 最高速(km/時) 路線長(km) 路線タイプ 工事建設計画 備考
北越急行ほくほく線 160 59.5 電化ローカル線 鉄建公団地方開発線及び地方幹線(AB線) 現在の最高時速は110km
智頭急行智頭線 130 56.1 非電化ローカル線 鉄建公団地方開発線及び地方幹線(AB線)  
伊勢鉄道伊勢線 110 22.3 非電化ローカル線 鉄建公団主要幹線(C線) 関西本線と紀勢本線を結ぶ短絡線 
【比較】首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス 130 58.3 電化都市線 鉄建公団民鉄線(P線) 大都市圏の通勤・通学路線 
【比較】JR西日本三江線(2018年廃止) 85 108.1 非電化ローカル線 鉄建公団地方開発線及び地方幹線(AB線) 公団工区(29.6km)以外の最高時速は65km

*つくばエクスプレスは大都市近郊線、三江線は一般ローカル線


文:M&A Online編集部

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