それでは、いったい、私たちはどのように相手を信じるのでしょうか。どうすれば相手に信じてもらえるのでしょうか。
臨時の信は、功を平日に累(かさ)ね、平日の信は、効を臨時に収(おさ)む。(『言志録』149「信」三則 その二)
●信用を重ねる
突発的な事態で得た信用によって、日々の信用が高まっていくことがある。そして日々の信用の積み重ねから、突発的な事態にも大きな信用を得て対応できることになる。
予定外のこと、思いもよらないことが起きたときこそ信用を築くチャンスになります。同時にいっきに信用を失う危機でもあるでしょう。こうした難局での態度、言動こそが重要になってくるのは明らかです。
とはいえ、それを発揮するためには、すべてが予定どおり、問題なく進んでいるときにこそ、信用についてきちんと考えて行動していなくてはならないはずです。
思いがけない危機のときに、日頃から積み重ねてきた信用が大きく評価されることになるのです。
信、上下(しょうか)に孚(ふ)すれば、天下甚(はなは)だ処し難き事(こと)無し。(『言志録』150「信」三則 その三)
●信孚
上に対しても下に対しても、真実をもって誠実にあたれば、この世の中で対応できないことはなにひとつない。
三つ目の「信」として、隔たりなく誠の心で信用を築くことで、難しい問題に直面しても乗り越えていけるのではないか、というのです。誠とは、偽りなき心。またしても心の問題になってしまいますが、評価する側にとって相手に偽りがないことで、その言動は信用するに足りることになるでしょう。
このように「言志録」の「信」三則では、「心を信じること」を第一として、次に、それは、突発的なとき、平時の日々、どちらでも信じられる行動を取ることで積み上げられ、誰に対しても隔てなく誠(偽りない心)をもってあたることだというのです。
信孚(しんふ)は、信用と誠実という意味でしょう。「孚」は、孵化の「孚」で、親鳥が卵を一時も離れることなく温めることによって雛が誕生することから、偽りのない心、誠の意味を持つようになっていったそうです。
おなじ「まこと」でも、誠意の「誠」に比べると、「孚」は本能的に卵をかえすように、その人の本質に備わっていてどんなときにも発揮されるイメージではないでしょうか。
信と誠は、「論語」でも重要な要素ですが、人を信じる、そして人に信じてもらうことは、時代を問わず人間社会においてはとても重要なことであり、今後もそれは変わらないのです。
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