日頃の、そしてわけ隔てなく信用を重視して対応していくことが、人から信用されることにつながりますし、私たちもそうした人を信用したいと願っています。
守秘の問題は、技術的な対応だけではなく、偽りのない心(誠、孚)も重要になってきます。佐藤一斎の『重職心得箇条』には、秘密についてこんな条文がありますので添えておきましょう。
物事を隠す風儀甚(はなはだ)あしし。機事は密なるべけれども、打出して能き事迄も韜(つつ)み隠す時は却(かえっ)て、衆人に探る心を持たせる様になるもの也。(『重職心得箇条』十六)
どういうことであっても、隠そうとする習慣は悪いものだ。最重要な機密は漏らしてはならないことは当然だけど、とくに隠す必要のないことまで秘密扱いにしてしまうと、人々はかえってそれを知りたい、暴きたいと思うようになってしまうものだ。
つまり、何事もオープンな姿勢であることを基本にし、本当に大切なところだけをガチッと秘密にしておく、そのメリハリ、取捨選択をしっかりさせることで、秘密を保つことができるのです。
※漢文、読み下し文の引用、番号と見出しは『言志四録』(全四巻、講談社学術文庫、川上正光訳注)に準拠しています。
文:舛本哲郎(ライター・行政書士)
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