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ゴーストレストランを一気に5倍に「出前館」赤字拡大に歯止めはかかるのか
フードデリバリーサービス「出前館」を運営する出前館は、デリバリー専用業態のゴーストレストラン事業「DeKitchens」(ディーキッチンズ)の本格展開に乗り出した。
2022年1月に「フードパンダ」、5月に「DiDi Food」が日本から撤退し、「Wolt」や「menu」などのサービスはあるものの、国内のフードデリバリーは「出前館」と「Uber Eats」の2強が高いシェアを握っています。
出前館は2022年6月時点で国内フードデリバリーアプリのDAUシェアが49%に達したと発表しています。
認知拡大によって、これ以上のシェアを握ることは難しいと判断しているのでしょう。
出前館の2022年8月期第3四半期の売上高は348億7,400万円。単純計算で流通取引総額のおよそ2割を売上高として得ている計算になります。仮に出前館のシェアが今と変わらず、市場の伸張に合わせて売上高を伸ばすとしましょう。
流通取引総額は3カ月で600億円、年間2,400億円です。出前館の売上高の理論値は480億円。市場調査を行うICT総研(東京都中央区)は、2023年のフードデリバリーの市場規模が前年比8.2%増加するとの試算をしています。市場規模の拡大とともに出前館の売上高が成長すれば8%台で緩やかに伸びることになります。配達のオペレーションなどを改善して利益が出る体質へと転換と図ったとして、営業利益率が5%だったとすると営業利益は24億円です。
出前館が第三者割当増資を行った際、Zホールディングスはおよそ320億円を出資して14.6%、ネイバーは180億円を投じて8.3%の株式をそれぞれ取得しました。将来的に黒字化できたとしても、売上高の規模が小さく、その投資に見合うリターンが得られるようには見えません。
出前館の認知獲得施策が終了したとすると、次のステップは利用頻度を高めて、流通取引総額の底上げを図るリピーター施策を行うはずです。この取り組みは認知率を上げることよりも遥かに難易度が高く、時間がかかると予想できます。急速に売上高を伸ばす可能性は低いでしょう。
出前館は大赤字を出していることばかりが取り沙汰されていますが、それよりも深刻な事態が起こっているように見えます。
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フードデリバリーサービス「出前館」を運営する出前館は、デリバリー専用業態のゴーストレストラン事業「DeKitchens」(ディーキッチンズ)の本格展開に乗り出した。