かっぱ寿司の半額キャンペーンは集客効果がどれだけあったのか?

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2021年9月26日、カッパ・クリエイト<7421>が運営する「かっぱ寿司」が1皿半額という1日限定のキャンペーンを実施しました。前代未聞の内容に客が殺到。周辺の道路は渋滞に見舞われ、食事をするまでに16時間待ちの店が出たと言われています。Twitterでは「かっぱ寿司」がトレンド入りし、混雑して店舗オペレーションが追い付かない様子が多数投稿されました。

かっぱ寿司はFOOD&LIFE COMPANIES<3563>の「スシロー」やくら寿司<2695>と比較して、業績面では遅れをとっていました。大々的なキャンペーンは多数の消費者と接触する機会を設け、継続的な来店を促す狙いがありました。キャンペーンによって、かっぱ寿司は集客力を上げることができたのでしょうか?

この記事では以下の情報が得られます。

・かっぱ寿司、くら寿司、かっぱ寿司の集客状況
・かっぱ寿司が半額キャンペーンを実施した背景

かっぱ寿司は肝心のリピーター創出に繋げられたか

かっぱ寿司は半額キャンペーン時に「本当においしくなった、と言えるからこそ、どうしても食べてもらいたいんです」と打ち出していました。2021年3月期のかっぱ寿司の原価率は48.5%。2021年10月期のくら寿司の原価率は45.3%、2021年9月期のスシローが45.9%です。かっぱ寿司は2021年3月期に客単価が前期比9.2%上がりました。くら寿司が2.5%、スシローが5.8%の上昇に留まっています。かっぱ寿司は原価率を高く設定し、客単価を上げることに成功しています。競合店と比較して付加価値の高い商品を販売していると考えられます。

かっぱ寿司は安い寿司を効率的に提供することに強みがありました。2016年3月期の原価率は44.3%です。品質を重視しなかったことが災いして客離れを起こし、原価率の見直しを行いました。2017年3月期には原価率が49.2%まで上昇しています。

半額のキャンペーンは、かっぱ寿司のこうした企業努力を多くの人に認知してほしいという想いが込められています。それがキャッチコピーによく表れています。企画単体の集客力よりも、そこからどれだけリピーターになってもらえるかが勝負です。

マルハニチロ<1333>が3,000人を対象に行った調査によると、週に1回以上から月に1回程度回転寿司店を利用する人は全体の35.8%に上ります。2~3カ月に1回程度を含めると66.5%となります。

■回転寿司の利用頻度

~マルハニチロ「回転寿司に関する消費者実態調査 2021」~
~マルハニチロ「回転寿司に関する消費者実態調査 2021」~

2~3カ月に1回程度回転寿司を利用する人が全体の6割以上を占めているのであれば、キャンペーン実施後の客数に何らかの違いが生じている可能性は高いです。果たして、かっぱ寿司のブランド選好度は上がったのでしょうか?

3社の月次の売上高、客数を比較してみます。青がかっぱ寿司、オレンジがくら寿司、灰色がスシローです。

■月次売上高と客数の推移(2020年同月比)

※月次報告書より筆者作成

10月のかっぱ寿司の売上高は110.6%、客数は103.6%でした。10月のくら寿司の売上高は80.1%、客数は80.6%です。スシローの売上高は94.0%、客数は93.4%でした。10月のかっぱ寿司の売上高、客数は2社を大きく上回っています。

しかしこれは2020年との比較です。くら寿司は2020年10月の客数が前年比115.4%、売上高が126.1%と好調でした。同時期のかっぱ寿司は客数が87.3%、売上高が89.6%と数字を大きく落としています。コロナによる影響を少なくするため、比較的数字が安定していた2019年と2021年を比較してみます。

※月次報告書より筆者作成

くら寿司の強さが目立ちますが、かっぱ寿司の客数に注目すると10月、11月は王者スシローを上回っています。12月はスシローに負けているものの、その差は0.8%とわずかです。

9月のキャンペーン実施前のかっぱ寿司の客数に注目してください。3月から8月までのかっぱ寿司の平均客数(2019年比)は74.5%。くら寿司が80.3%、スシローが84.6%でした。かっぱ寿司とスシローの差は10ポイント近く開いていたのです。しかし、キャンペーン実施後の10月から12月の客数はかっぱ寿司が86.6%、スシローが84.8%となり、かっぱ寿司が逆転しました。客数という側面で見ると、このキャンペーンは成功であった可能性が高いです。

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