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【コロナ禍の外食M&Aまとめ】ノンコアの切り離しが加速
新型コロナウイルスの感染拡大で飲食業界に激震が走りました。その一方で、火中の栗を拾うように外食企業のM&Aも盛んに行われています。売り手の多くはノンコアの外食事業の切り離し。買い手は外食を専門で手掛けていた企業や経営者です。
洋菓子のヒロタを運営する21LADY<3346>が上場廃止の瀬戸際まで追い込まれました。2020年3月期に債務超過に転落し、2022年3月末までにこれを解消しなければ上場廃止となりますが、今のところその目途はたっていません。2022年3月期は700万円の純利益を見込んでいました。しかし、製造原価高騰によって損失へと一転。5,900万円の最終赤字を見込んでいます。同社は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた特例に基づき、上場廃止猶予期間を1年から2年に延長されていました。それでも債務超過解消に向けた資本増強には動いていません。上場廃止のカウントダウンが始まりました。
この記事では以下の情報が得られます。
・21LADYの業績
・債務超過解消に向けた取り組み
21LADYは2000年3月創業。投資育成事業を行っており、2001年10月に経営破綻した洋菓子のヒロタの再生支援スポンサーに名乗り出ました。当時の21LADY代表取締役社長だった広野道子氏が旗振り役を務め、不採算と言われていた直営店のリニューアルとリブランディングに着手。商品点数を150から60に絞り込むなど戦略を練り直して6カ月後に黒字化を達成しました。
広野道子氏は飲食店のFCチェーン開発を行っていたベンチャー・リンク出身。その後、経営コンサルティングに携わるようになりました。1997年5月にポッカクリエイト専務取締役を務めています。21LADYを創業してヒロタの代表取締役や、2010年3月に伊藤忠商事<8001>から譲受した北欧インテリアのイルムスジャパン(目黒区)の代表取締役社長に就任しています。しかし、2018年6月の株主総会で広野氏は解任されました。理由は業績不振が続いていたこと。しかし、社長退任で会社はむしろ推進力を失ったように見えます。2017年3月期はわずかに利益を出しましたが、社長退任後は一度も経常利益を出していません。
■21LADY業績推移(単位:百万円)
2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 予想 |
|
売上高 | 2,736 | 2,557 | 2,519 | 1,930 | 1,966 | 2,245 |
前期比 | 91.7% | 93.5% | 98.5% | 76.6% | 101.9% | 114.2% |
経常利益 | 22 | -2 | -145 | -155 | -141 | -33 |
純資産額 | 29 | 55 | 240 | -167 | -368 | - |
※有価証券報告書より筆者作成
洋菓子のヒロタは不採算店の撤退ではなく、リニューアルによって復活を遂げました。しかし、一時的に業績は回復したものの、長くは続かずに閉店のテコ入れへと駒を進めます。撤退を推進したのも広野氏でした。50以上あった店舗は2018年3月末時点で18まで減少します。その成果が2017年3月期の2,200万円という経常利益でした。赤字体質から脱却できたのです。
しかし、解任後も出店の反転攻勢には出られず、新型コロナウイルス感染拡大の影響も重なって2021年3月末時点で直営店は6店舗を残すのみとなりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で飲食業界に激震が走りました。その一方で、火中の栗を拾うように外食企業のM&Aも盛んに行われています。売り手の多くはノンコアの外食事業の切り離し。買い手は外食を専門で手掛けていた企業や経営者です。