「連載コラム 受託の罠の脱出ルート4」

テックギークユニコーン「Mobileye(モービルアイ)」の謎に迫る

前回のコラムでは、日清食品創業者「安藤百福」氏の偉大な実業家としての軌跡について書きました。日清食品は「チキンラーメン」と「カップヌードル」という大ヒット商品を軸に世界に名を轟かせた会社です。消費者向けビジネスなので誰でも”超優良企業”と会社の価値が理解できます。

しかし一方で、世の中には「何をやっているのかちょっとよくわからないけども異常に価値が高い謎の会社」というものが存在します。このコラムでいうところの象限4ギークスタートアップに属する「テックギークカンパニー」です。

受託の罠のCJM
筆者作成

今回は、そのような謎の会社のひとつとして、2018年に米国のインテルが1.7兆円で買収したハイテク企業「Mobileye(モービルアイ)」について書いてみたいと思います。

モービルアイは、1999年に設立されたイスラエルのハイテクベンチャーです。自動車の高度自動運転支援技術の開発と提供をしている企業です。日本のSUBARUが提供するアイサイトのような技術といえばわかり易いでしょう。

しかし、モービルアイは自社で完成車の開発と生産販売までを行うOEM(完成車メーカー)ではありません。特に画像認識関連技術を核とした、高度自動運転システムを世界のOEM各社に提供する、いわば部品メーカーです。

自動車業界、特に日系においては、完成車メーカーと部品メーカーは長年にわたり強い系列関係の中で発展してきました。従って、サプライヤーの利益率が世界のメガOEMを大きく上回ることは一般的には厳しいといわれます。これは系列関係が強くない欧米系サプライヤーにおいても基本的には同じです。

仰天価格でインテルに買収されたモービルアイ

では、モービルアイはどうでしょうか。下記が2011年から2016年までのモービルアイの業績概要です。(同社は、2017年にインテルに買収されて非公開化されています。)

図1:モービルアイの「収益/EBITDA推移」と「企業価値推移」

モービルアイの「収益/EBITDA推移」と「企業価値推移」
筆者作成

2011年から2016年の5年間で、売上収益はおよそ20倍になっています。EBITDAマージンは、買収直前の2016年通期ベースでおよそ35%。優良メガサプライヤーであるDENSO(デンソー)の営業利益率が8%程度ですから、これがいかに飛びぬけた数値かがわかります。

そしてこの圧倒的な成長と収益性を評価され、創業後18年で、EBITDA倍率120倍(Revenue倍率42倍)という仰天価格でインテルに買収されたのです。