希薄化」という言葉は、一般的には大気や液体の濃度などに対して使用されたり、地域社会とのつながりや人間関係などに対して使用されたりします。しかし、ファイナンスの分野でこの言葉が使われる場合は「株式」の希薄化を指すものと考えて間違いありません。

株式が希薄化するとは、いったいどのようなことを意味するのでしょうか。第三者割当増資との関係にも触れながら、株式の希薄化について考えてみることにしましょう。

第三者割当増資の意味

株式の希薄化は新たに株式が発行される時に生じるものです。そこで、まずは株式の発行形態を確認しておきます。新株を発行する際には、広く一般から株主を募る「公募増資」や特定の者に対して株式を発行する「第三者割当増資」などの方法が考えられます。

「第三者」という言葉からは、既存株主ではない者に対する株式発行という印象を受けますが、対象が既存株主かどうかだけで判断するわけではありません。既存株主に対して新株発行する場合でも、持株数に応じて株式を割り当てる「株主割当増資」以外の増資は第三者割当増資になります。

発行済株式数100株の会社でA株主の持株数が60株、B株主の持株数が40株であったとします。この会社で新株を10株発行する際、A株主に6株、B株主に4株を割り当てる場合は株主割当増資となります。これに対して、既存株主であるA株主に2株、新たな株主となるCに8株といった形で株式を割り当てる場合は第三者割当増資に該当します。

株式の希薄化とは

第三者割当増資が行われても、1株当たりの株式価値以上の払込がなされるなら、既存株主には経済的な損失が生じません。逆に、割安な払込となる場合には既存株主の持分が希薄化して損失が生じることになります。

そのため、会社法上、特に有利な発行価額で新株を発行する場合には株主総会特別決議を要求することで既存株主の保護を図っています。

ただし、有利発行に該当しない場合でも、発行済株式数が増えれば1株当たりの利益や配当、議決権比率などが低くなることには変わりありません。株主割当の場合は、それぞれの持株数も増えるため、希薄化は問題となりませんが、公募増資や第三者割当増資の場合には、株式の希薄化が既存株主にとって不利益をもたらします。

そのため、東京証券取引所に上場する企業に対しては希薄化に関する規制が設けられています。具体的には、第三者割当増資により既存株主の議決権が25%以上希薄化する場合には、その必要性や相当性につき第三者機関の意見を入手するか、株主総会などにより株主の意思を確認する手続が必要となります。

また、希薄化率が300%を超える場合には、投資者の利益を侵害する不公正なファイナンスを決定したものとして、上場廃止となる可能性があります。