ガバナンス体制について

ビズサプリの久保です。新型コロナウイルス騒ぎで、世界の株価が急落するという事態に発展しています。今回は、大揺れに揺れている、かんぽ生命のガバナンス体制について考えてみました。

1.意外に多い社外取締役過半数の会社

日本取締役協会2019年の調査によれば、東証1部上場会社のうち、社外取締役を取締役会の過半数としている会社が142社あるとしています。2014年では51社でしたので、5年で約3倍になったということになります。

増えてきているといっても、このような会社は東証1部上場会社の1割に満もたない少数派です。CEOとCFO以外は社外取締役が普通の米国の状況に比較すると、大きな違いがあります。日本の上場会社では、今のところ、2,3人の社外取締役を置くのが主流と言えます。

最近、「社外取締役を過半数に」という要求をアクティビストファンドが上場会社に突きつけるケースが増えてきました。また、過去に不祥事を起こした会社が社外取締役を過半数にしています。日産自動車、東芝、スルガ銀行、オリンパスなどがその例です。社外取締役を過半数にすることは、いわば先進的なガバナンス体制を採用していることの象徴になっています。

2.かんぽ生命の不正募集問題

かんぽ生命は、保険の不正募集問題で大きく揺れています。金融庁から3月31日までの3か月間の業務停止処分を受けました。調査の結果分かった不適正募集は、社内ルール違反1608件、法令違反153件(ともに2月19日時点)でした。

特別調査委員会は3月末まで追加調査を続けるため、違反件数は増加するものとみられます。その特別調査委員会による調査報告書(2019年12月18日)によれば、この不適正募集を職場で見聞きしたことがある郵便局員が半数程度いました。2人に1人は知っていたということになります。

これほど現場で知られている問題について、役員に対しては「大きな問題ではない、すでに解決策を取っている」と報告されていたと調査報告書に記載されています。

日本郵便では全国に約1000名、かんぽ生命には80名から90名の内部監査要員がいますが、「事務上の不備等の有無を確認する準拠性監査にとどまっており」「本契約問題の早期探知につながるような監査が実施できなかった」とされています。

監査委員会がどのような活動をしたのかについては、調査報告書には記載されていませんが、内部監査が問題を指摘していない以上、監査委員会がこれを知ることはなかったものと考えられます。

3.かんぽ生命のガバナンス体制

「監査委員会」と書いたので、お気づきの読者もおられると思いますが、かんぽ生命は指名委員会等設置会社です。みずほフィナンシャルグループや日産自動車などは、不祥事を契機としてガバナンス体制を指名委員会等設置会社に移行しています。

この体制をとる場合、指名、報酬、監査の3委員会の過半数が社外取締役であることが求められます。ただ、取締役会全体の過半数が社外取締役であることは求められません。そのため、このガバナンス体制を採用しているからといって、社外取締役が取締役会の過半数とは限りません。

かんぽ生命はどうかというと、2015年の上場当初から指名委員会等設置会社であり、取締役の過半数を社外取締役にしていました。すなわち、冒頭の142社に含まれる会社でした。指名委員会等設置会社であり、取締役の過半数が社外という最強のガバナンス体制を採用するかんぽ生命で、不正募集問題への適切な対応ができなかったことになります。