2019年8月21日、「TOKYO FM」としてお馴染みの株式会社エフエム東京が記者会見を開きました。会計不正などに対する第三者委員会報告書の公表に合わせたものです。

同社の会計不正は、本来、連結決算に含めておくべき子会社の赤字を除外したことによるものです。こうした手法は「連結はずし」と呼ばれます。以下では、報告書を手掛かりに事件の経緯を確認してみたいと思います。

発覚のきっかけは内部通報から

記者会見では黒坂修社長が「公共性の高い放送事業者としてあってはならない事態を発生させた」として謝罪しました。黒坂社長は2019年6月25日の定時株主総会以降に就任した新社長です。元社長の千代勝美氏をはじめ、不正に関わった旧経営陣の取締役7名はすでに総退陣しています。

不正発覚のきっかけとなったのは、エフエム東京の通報窓口および会計監査人となっている監査法人への内部通報でした。本来、連結決算に取り込まれるべきであったTOKYO SMARTCAST(TS社)の2017年3月期から2019年3月期の営業損失は11億1千7百万円にも上ります。

エフエム東京の直近の連結決算である2018年3月期では営業利益が14億7千5百万円となっています。仮にTS社の2018年3月期における営業損失4億4千4百万円がすべて連結に取り込むべきものだとすれば、実際の営業利益は10億円程度だったと考えられます。

なお、例年であれば6月下旬に公表されていた同社の決算公告は現時点では公表されていません。過去の修正も含め、9月下旬を目途に決算が確定できるよう作業が進められている模様です。

エフエム東京の株主は?

ところで、一般の投資家がエフエム東京の決算内容をわざわざ調べることはあまりないでしょう。なぜなら、エフエム東京は非上場会社だからです。つまり、エフエム東京が決算内容を報告する直接の相手方は、筆頭株主である東海大学や株式会社東京タワーということになります。

上場会社であれば、「連結財務諸表」を作成し、金融商品取引法にもとづき監査法人などによる会計監査を受ける必要があります。会社法上も大会社に該当する場合には「連結計算書類」の作成が義務付けられています。

これに対して、非上場会社であれば、通常、金融商品取引法にもとづく監査は必要ありません。会社法上の大会社に該当する場合には会計監査人による監査を受ける必要があります。ただし、これは原則として単体の決算書である「計算書類」が対象となります。

会社法上、任意で連結計算書類を作成することができます。例えば、金融機関から要請された場合や経営管理上の必要性から連結計算書類を作成する場合などが考えられます。任意であっても連結計算書類を作成したからには、会計監査人の監査を受ける必要が生じます。