海上自衛隊横須賀海上訓練指導隊司令の1等海佐が無許可で女性向けに男性を派遣する風俗店を営業した疑いで更迭されたニュースを受け、KADOKAWA<9468>が開発した「艦隊これくしょん -艦これ-」がネット上で話題になっている。

「艦これ」はプレーヤーが「提督」となり、戦闘鑑を少女に擬人化した「艦娘」(かんむす)たちのレベルアップを競う「育成ゲーム」。従来は海戦や戦略などの軍事シミュレーションでリアルさを競っていた艦隊ゲームのジャンルで、新たな市場を開拓している。2013年4月にウェブ上で楽しむブラウザゲームでサービスを始めたところ、利用者が殺到して新規登録を一時停止するほどの大ヒット作になった。

映画などにも展開した「艦これ」(プレスリリースより)

現在はスマートフォン向けのゲームアプリや、ゲーム機向けのソフト、ゲームセンター向けのアーケードゲーム、マンガ、小説、関連書籍、アニメ、音楽CD、模型などにビジネスを展開。「ひとつの知的財産(IP)を使いまわす」メディアミックスの成功例としても知られる。

不祥事で問題となった同1等海佐が護衛艦「やまゆき」や補給艦「ましゅう」の艦長などを歴任していたことが知れ渡ると、SNSなどで「艦これ」が話題に。「艦これ」が艦船を擬人化した少女を海戦に「派遣」することから、問題となった女性客に男性を派遣する風俗サービスとの類似性が注目され、書き込みが集中しているようだ。

通常、こうした不祥事を連想させる商品やサービスはイメージダウンするケースが多く、企業の株価を引き下げる要因になる。ところが「艦これ」を開発したKADOKAWAの株価は1700円台にまで落ち込んでいた2020年2月4日から、事件が報道された翌5日には一転して反発。一時は1889円と、1900円台をうかがう水準にまで上昇した。

この日は株式市況全体が回復基調だったこともあり、不祥事に伴うネットでの注目度アップが株価を上昇させたかどうかは不明だが、少なくとも悪影響にはならなかったようだ。ネット上では不祥事を題材にした二次創作(原作に登場するキャラクターを利用して、二次的に創作された独自ストーリーのコンテンツ)が盛り上がるとの観測も出ている。

こうした周囲の盛り上がりで「艦これ」がさらに注目されれば、KADOKAWAの稼ぎ頭の一つでもある知的財産だけに、株価をさらに押し上げる効果も期待できそうだ。

文:M&A Online編集部