海外売上高は成長するも利益が追い付かず

中国市場から撤退した大林組は北米市場を開拓すると同時に、早くから進出していた東南アジアへの「回帰」にも取り組む。実は大林組が初めて海外に進出したのはタイ。1964年にタイ事務所を開設して以来、シンガポールやインドネシアなど東南アジア市場でビジネスを拡大してきた。

エセック アジアパシフィック キャンパス
大林組がシンガポールで建設した「エセック アジアパシフィック キャンパス」(同社ホームページより)

当初は日系企業の東南アジアへの進出に追随しての参入だったが、現在でも日系企業の現地投資が継続的にあり、受注は安定している。これに加えて東南アジア企業からの受注も現地経済の成長に合わせて伸びており、タイ大林ではすでに外国企業からの受注比率が4分の3に達しているという。

大林組の2017年3月期は海外売上高こそ伸びたが、営業利益は16億円と対前期比7割減の大幅ダウンに。受注した工事で赤字案件が続出し、カナダのケナイダン社は約6億円の最終赤字となった。2018年3月期決算ではケナイダン社の赤字は9700万円に縮小する見通しだが、それでも4期連続の営業赤字となる。

ケナイダン社
4期連続の営業赤字に陥ったカナダ・ケナイダン社(同社ホームページより)

2013年3月期との比較では、2018年3月期の海外売上高は約2倍の4670億円に上るが、営業利益は約30%増の60億円に留まる見通しだ。2018年3月期の海外事業は不振だった前年の2017年3月期に比べれば改善するが、ここ5年間での利益率の成長は売上高のそれとは大きく乖離している。

大林組も「赤字企業の立て直しが必要」と気をもむ。大林組の海外売上高比率はおよそ4分の1で、国内ゼネコン大手の中では高い。しかし、海外事業は中国の「スーパーゼネコン」や韓国の建設会社との競争が激しいため、大林組の「ブランド力」で大型案件が受注できる国内市場と違って高い利益率を確保できないという問題もある。