2018年こそ一服感があったものの、継続的にM&Aを実施するスタンスは変わりはない。
2019年5月には、工業用耐食ポンプメーカーの新東洋機械工業(埼玉県越谷市)を子会社化した。新東洋機械はゴムライニング、テフロンライニング、チタン、ニッケル材料に特化した耐食ポンプを手がけ、とくにゴムライニング製ポンプは世界でもトップシェアという。
三洋貿易は機械資材部門の新商材として海外で拡販するとともに、グループの三洋古江サイエンス(さいたま市)が手がけるマイクロポンプ事業との相乗効果を期待している。
同年10月には機能性飼料原料・飼料添加物を輸入販売するワイピーテック(東京都千代田区)を子会社化。化成品部門の一つである畜産事業との相乗効果を見込む。ワイピーテックの直近売上高は約28億円。買収金額は非公表だが、三洋貿易が取り組んできたM&Aでは最も企業規模が大きい。
同社は収益基盤の強化に向けて、事業領域の深化、新規ビジネスの開拓、グローバル展開の加速、新規投資案件の発掘を重点施策とするが、いずれもM&Aがポイントとなる。
海外拠点は米国、メキシコ、中国、東南アジア各地、インドに広がる。しかし、欧州についてはデュッセルドルフ駐在員事務所(ドイツ)の1カ所にとどまる。今後の見どころとして、欧州を含めた海外M&Aに本格参戦するのかどうかに注目が集まりそうだ。
文:M&A Online編集部
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