業績の推移をみてみよう。
2019年9月期は売上高6.1%増の832億円、経常利益9%増の60億7500万円、当期利益10.5%増の40億1800万円。10期連続で経常増益を達成した。リーマンショックが直撃した2009年9月期は売上高403億円(130億円減少)、経常利益6億6500万円(半減)だったが、これを大底として、売上高は2.1倍、経常利益は9.1倍に拡大した。
とくに2017年9月期以降、売上高は明らかな右肩上がり。10%超の2ケタ成長が続いている。M&Aを通じた事業の入れ替えや新規領域の取り込みが奏功した形だ。
足元の2020年9月期業績は売上高13.5%増の945億円、経常利益2%増の62億円、当期利益4.5%増の42億円と増収増益を見込む。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済の減速が鮮明となる中、今後、業績見込みの下方修正も予想される。
三洋貿易の事業は「化成品」「機械資材」「海外現地法人」の3部門で構成する。部門別の売上高は化成品37%、機械資材40%、海外現地法人23%。元々、合成ゴムや化学品(染料、建材、電材)を中心とする化成品を主力としてきたが、近年は機械資材のウエートが高まっている。
機械資材では自動車内装用部品やシート周辺部材、在宅医療機器(酸素濃縮器、呼吸器系医療用チューブ)、木質バイオマス熱電併給装置、ペレット造粒機器などを取り扱う。
例えば、成長分野の一つと位置づけるのが木質バイオマス発電。北海道下川町で2019年5月に完成したプロジェクトでは国産間伐材を固形燃料化するペレット装置や熱電併給装置11基などを一括納入することに成功。新潟県でも同社が関与する同様の発電プロジェクトが動き出している。
現在2年目に入っている新長期ビジョン「VISION2023」では、2023年9月期の目標として①経常利益75億円②ROE(株主資本利益率)15%③海外拠点成長率(売上ベース)年率10%を掲げる。
これに連動する形で2020年9月期に中期経営計画をスタートした。計画期間を2年とし、21年9月期に売上高1020億円、経常利益67億円を目指す内容だ。首尾よく「1000億円企業」への仲間入りを果たせるのか、胸突き八丁の時でもある。
◎三洋貿易の業績推移(単位:億円)
19/9期 | 20/9期予想 | 21/9期目標 | |
売上高 | 832 | 945 | 1020 |
経常利益 | 60 | 62 | 67 |
当期利益 | 40 | 42 | ー |