米市場に再参入、タルトを買収

コーセーHPから:米タルトの商品

コーセーは2014年4月、口紅やファンデーションなどメイクアップ化粧品を中心にブランド展開する米タルトの株式93.5%を取得し、子会社化した。買収金額は約135億円。米での売上高は1%に届いていなかったが、北米発のブランドを獲得し、新たな海外事業の取り組みをスタートさせることにしたのだ。実は、タルト買収はコーセー初の海外M&Aであると同時に、米への再参入を意味した。

米では1997年に現地法人を設立し、化粧品販売に乗り出した。ところが、軌道に乗らず、2009年に撤退に追い込まれる苦い経験を持つ。タルトを買収した翌年に、北米の統括会社・コーセーアメリカ(ニューヨーク)を設立した。

タルトは1999年設立で、果物などの天然由来成分を配合した化粧品を特徴とする。小売店チャネルのほか、インターネット販売やテレビ通販に強みがあり、米では20~30代の女性を中心に人気を集める。写真投稿サイト「インスタグラム」などSNSの積極活用によるPRでも知られる。

際立つ“孝行ぶり” 北米売上は5倍に

“タルト効果”はてきめんだ。買収直後、79億円だったタルトの売上高は直近で412億円(アジアなどその他地域を含む)と3年間で5倍に急増。営業利益は78億円とやはり5倍以上伸び、全社の16%を稼ぎ出す。

資生堂は2010年、約1600億円をかけて米化粧品会社のベアエッセンシャル(サンフランシスコ)を買収した。当時のコーセーは、指をくわえて見るしかなかったが、その後、両社のM&Aは明暗が分かれた。買収後のベアエッセンシャルは思ったような業績が上げられず、資生堂は17年12月期決算で655億円の「のれん」の減損損失を計上した。これに対し、コーセー傘下のタルトの孝行ぶりは前述のとおりだ。

海外売上比率の推移はどうか。タルト買収前の2014年3月期は12.8%(アジア238億円+欧米他55億円)だったが、18年3月期は24.9%(アジア352億円+北米369億円+その他33億円)と2倍近くになった。従来の「欧米他」というエリアの括りを、「北米」と「その他」に変更したのは前期の決算から。アジアと北米が肩を並べ、両輪で牽引する理想的な姿が見えてきたといえる。

2000年以降の主な出来事
1946小林孝三郎が化粧品の製造・販売を目的に「小林合名」創業(1948年、小林コーセー設立)
2000 東証1部に上場
2001 韓国にコーセー韓国(ソウル)を設立
2002 ドクターコスメを扱うフィルインターナショナル(現ドクターフィル コスメティクス)を買収
2006 中国に高絲化粧品銷售(上海)を設立
米コティとのライセンス契約により、リンメル(RIMMEL LONDON)ブランドを日本に導入(18年10月末で契約終了)
2009 米ジルスチュアート(JILLSTUART)ブランドの化粧品に関する世界での商標権を取得
2013 インドにコーセーインド(ハルヤナ)を設立
2014 インドネシアにコーセーインドネシア(ジャカルタ)を設立
米化粧品会社のタルト(ニューヨーク)を子会社化
2015 米にコーセーアメリカ(ニューヨーク)を設立
2016ブラジルにコーセーブラジル(サンパウロ)を設立
2017フランスのリヨンに欧州初の研究拠点「研究所フランス分室」を設置
2018 中国生産子会社の高絲化粧品(杭州)を日本コルマーホールディングス(大阪市)に譲渡