投資ファンドが病院経営に乗り出す理由

病院の待合室
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ユニゾンは病院への出資を加速しています。大手投資ファンドが病院の経営に乗り出すのは、ユニゾンが初めてとなります。出資対象は病床数が200未満の中堅の病院が対象で、劣後ローンで融資するほか、株主総会に相当する病院の社員総会で議決権を持ち、経営に参画します。

あまり知られていませんが、病院もM&Aは活発に行われています。背景には赤字経営が続いている病院が多いことや、後継者不足、医師や看護師が足りていないことが潜んでいます。

赤字経営を理由にしたM&Aとして、2017年に加古川西市民病院が医療法人社団一功会に土地建物を譲渡した例や、日本郵政が横浜逓信病院を社会福祉法人恩賜財団済生会に事業譲渡した事例などがあります。医師・看護師の不足を理由としたM&Aが、2015年NTT東日本東北病院の東北薬科大学への事業譲渡です。このようなM&Aは比較的頻繁に行われています。

売り手は経営難や人材不足による先行きの不安から売却に乗り出すことがわかります。買い手はどうでしょうか。

病院は規制が厳しく、簡単には開業できないという現実があります。地域の医療計画を超える病床数は認められないこともあり、増床できないといったこともあります。買収であれば簡単に規制をクリアでき、手っ取り早く拡大ができます。また、設備投資にかかる費用を節約でき、人材確保もできます。企業の事業拡大と同じく、診療領域の拡大も可能です。

しかし、ユニゾンは病院のM&Aの仲介を行うわけではありません。病院の資産価値を上げてエグジットする必要があります。そこがポイントです。当然、病院は非営利のため、医療費を上げて収益の向上を狙うといったことはできません。

ファンドの支援策の一つとして、コスト削減に注力することが挙げられます。ユニゾンは支援先の病院同士で医薬品や医療機器を共同購入したり、管理業務を集約するとしています。支援先の病院が増えれば、それだけ連携はとりやすくなり、コストの削減にも繋がります。

厚生労働省の医療費の動向によると、2019年の医療費は43.6兆円(前年比2.4%増)。高齢化社会に伴って医療費は今後も増加が見込まれており、国内では稀有な伸び盛りの市場です。患者数が増加して経費を削減することができれば、病院の価値は向上します。

病院に貸付をしている地方銀行などの金融機関は、後継者難などに悩む病院の相談が多くなっているといいます。ファンドからすると、案件を発掘しやすい業界でもあります。投資から再生支援、エグジットの成功モデルを確立できるのか。ユニゾン・キャピタルの新たな挑戦に注目が集まっています。

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