M&Aを考える際の3つのポイント

1) 買い手の買収意欲は景況に左右される。
今から10年前のリーマンショックを境に、企業の投資活動は急激に冷え込みました。当然ながらM&Aの件数は激減し、以来10年近くにわたり、日本のM&A件数はリーマンショック前を下回り続けることとなりました。2011 年の東日本大震災の折にも多くのM&Aが止まりました。また、2018年現在は異次元の金融緩和により、買い手が買収資金を調達しやすい状況です。それによりM&Aが促進されている側面があるものの、いつ金融が引き締められるかわかりません。

今後5~10年後の景況は誰にも想定できませんが、事業承継は重要な経営判断です。リスクを考えず検討を先送りするのではなく、リスクを踏まえた準備が経営者には求められます。

2) M&Aには時間がかかる。早期の検討は良い結果をもたらす。
会社を譲渡したくなっても、すぐに譲渡することはできません。会社の資料をそろえ、企業価値を算定し、複数の企業に打診しながら条件交渉を詰めていきます。取引は半年から1年はかかりますし、経営の引き継ぎ期間を考えると、さらに長くなるのが一般的です。

急に景気が悪くなったり、オーナーの体調が悪くなってから検討を始めても、タイミングが遅い場合が多いのです。決断してから進めるのではなく、気になったときから情報を収集し検討を進めておくことが、良い結果をもたらします。

3) M&Aを検討したからといって、必ず売却しなくともよい。
会社の譲渡を検討するため、M&A仲介会社に買い手候補探しを依頼しても、必ず売却しなければならない、ということはありません。当然ながらM&Aを検討したとしても、望む相手に巡り合えなければ譲渡する必要はないのです。ただし、検討の過程でどのような企業が手を挙げたのか、譲渡条件はどうだったかを把握することは、とても大切な情報となるでしょう。

4) 譲渡後も、引き続き社長として経営に携わるオーナーは多い。
意外に思われる方も多いのですが、必ずしも「M&A(譲渡)=引退」ではありません。譲渡後も継続して社長として残られるオーナー経営者は多いのです。経営者としての能力や知識・見識は、買い手企業にとって魅力的ですし、社長として残ることで従業員や取引先に不安を与えずに済みます。

譲渡するオーナー経営者にとっても、買い手企業との相乗効果を発揮する際の主体者として、これまで以上に会社を引っ張っていくことができるチャンスとなります。

以上、いくつか考えを深めていただくポイントをお伝えしました。体力、気力が十分でも、さまざまなリスクに備えて譲渡の情報収集は早目にしておくことをおすすめします。

M&A情報誌「SMART 2018 Vol.27」の記事を基に再構成しております
まとめ:M&A Online編集部