【経営者向け】M&A相談所 その時、どうする?

「5年後に良い条件で譲渡するために、今から準備しておくべきことはありますか?」

21年前、創業者である父の後を継いで社長になりましたが、気が付けば私も59歳になりました。子どもはおらず、社内にも後継者はいませんので、あとはM&Aで会社を譲渡しようと決めています。

ただ、あと何年かは事業にかかわっていたいと考えています。新商品の研究開発や設備投資の計画もあります。そこで5年後の会社の譲渡を前提として、やっておくべきことがあれば教えてください。今よりも、もっと良い状態で譲れるように準備したいと思っています。 (長野県半導体関連メーカーM・Hさん)

「望むM&Aの条件を明確にし、伴走者的な存在と、M&Aまでの行動計画を作ってはいかがでしょうか」

最近は「計画的な会社の譲渡」を検討される経営者の方が増えてきているように感じます。ご相談者様のように気力・体力が充実されているうちに準備を始めたほうが、余裕を持ってご検討いただくことができ、納得のいくM&Aを実現できるのではないかと思います。

そこで、数年後の会社の譲渡を念頭にどのような準備ができるか、ポイントを整理いたしました。

①望むM&Aを実現するための情報を収集する

 企業を譲渡するにあたって、オーナーが望む条件は千差万別です。その「自分なりの希望条件」を明確にされると同時に、それが本当に実現できるのか、また実現するためにはどうすればよいか、といった情報収集が必要です。いくつか必要と思われる項目をご紹介いたします。

*最新の業界動向、M&Aマーケット情報の把握
 M&Aは、業界環境や法令改訂などの動向に影響を受けることがあります。そういったものがM&Aに与える影響などを専門家に確認されてはいかがでしょうか。

企業価値の向上
 業績の改善・さらなる成長のために新たな施策を検討される方は多いものの、事業の急な見直しにはリスクが伴います。設備投資の時期や、不採算事業・ノンコア事業の見直しなどは、慎重にお考えになられたほうがよいといえます。

決算書の透明性の向上
 会社名義になってはいるけれども、実態としては社長個人に属するような資産(不動産や車両等)や、不良在庫等は、事前に整理しておいたほうが好ましいといえます。また、時価が不明な有価証券や出資金などは実態の価値の確認が必要です。
複数の事業を営んでいらっしゃる場合には、それぞれの事業ごとに、損益状況を確認する必要性もございます。

*譲渡の際に問題となりそうなビジネスリスクの把握
 近年、話題に挙がっている残業代の未払いや、社会保険の未加入などがあれば、M&Aにあたって障害になるケースもあります。

*株の整理(株主が複数いる場合)
 連絡がつかない株主、成年後見人が必要な株主など、譲渡にあたって障害になる可能性がある株主がいらっしゃらないかご確認ください。

*社長に依存する業務の縮小
 社長の個人的な才覚や信用に依存する状態は、買収企業にとってリスクに映ることもございます。社長に依存している業務を減らし、組織的に業務を行うことができる体制作りもM&Aにおいては肝要です。