本業にあまり関連がないノンコア事業を外部に売却したい

父から会社を引き継ぎ15年が経ちました。先代は本業の建設業だけでなく、介護施設の運営や飲食店を多展開するなど多角経営に取り組んでいました。ただ、経営を引き継いだ私としては、今は本業の建設に意識と時間を集中させたいと考えています。そこで、本業にあまり関係がなく、業績貢献もそこまで大きくない介護事業や飲食事業は他社に売却できないかと考えています。注意すべきことがあれば教えてください。(鳥取県建設業H・Mさん)

取り組みやすいのは 事業 譲渡

取り組みやすいのは「事業譲渡」ですが、注意すべき点もあります。
自社の得意とする事業分野を見定め、その事業分野に経営資源を集中的に投下して、経営の効率化や業績向上を目指す、いわゆる「事業の選択と集中」をご検討されているのですね。

M&Aにおいて一部の事業を売却する方法には、「事業譲渡」と「会社分割」の2つがあります。「事業譲渡」は、特定の事業部門あるいは地域的なエリアに限っての店舗の譲渡などを行う方法です。「会社分割」は、事業の一部を会社分割し“一個の独立した法人格”としたうえで、その会社の株式を譲渡する方法です。

どちらも事業の一部を譲渡するという点では同じです。それぞれメリット・デメリットがありますが、会社分割は法的手続きの煩雑さがあり、一般的に中堅・中小企業で多く用いられるのは事業譲渡です。

●相違点まとめ

事 業 譲 渡 の 場 合会 社 分 割 の 場 合
根本的な意味 商取引 組織の再編
契約関係 個別承継 包括承継
債権者の事前承諾 必要 不要(ただし無視はできない)
債権者保護 個別同意 原則、債権者保護手続が必要
簿外債務の引き継ぎリスク 原則としてなし あり
許認可 再取得が必要 自動的に承継
従業員の引き継ぎ 個別同意が必要 包括承継(ただし労働者保護手続が必要)
税制 時価取引として譲渡損益が発生 税制適格:譲渡損益の繰述税制非適格:時価取引として譲渡損益の発生

そこで今回は、取り組みやすく一般的な手法である事業譲渡について、注意すべき点や特長について解説いたします。