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「日韓経済戦争」で、GSOMIAが韓国の「切り札」となる理由

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日本が収集できない北朝鮮の情報とは

安倍晋三首相が蛇蝎(だかつ)のごとく嫌う民主党が提唱し、厳しい姿勢で臨む韓国との協定にもかかわらず、いわば「三顧の礼」で締結に取り組むほどGSOMIAは日本にとって必要だったといえる。事実、韓国政府がGSOMIAの再延長に慎重な姿勢をみせると、日本政府は規制強化に伴う輸出審査を異例のスピードで認可するなど妥協に向けて動き出した。

日本は、なぜGSOMIAを必要としているのか。GSOMIAでやりとりされる内容はそれこそ「機密」だが、日本側は自衛隊のレーダーサイトやイージス艦などが収集した弾道ミサイルの追尾情報を、韓国側は北緯38度線の国境監視や北朝鮮側との接触や脱北者から得られる国内情勢などの情報を提供しているようだ。

日本側からはイージス艦などが収集したレーダー情報が提供される(Photo by *Yaco*)

ところが日本側が提供するレーダー情報は、韓国も同様に収集している。韓国側にとっては「補完情報」にすぎない。イージス艦に至っては海上自衛隊は単独運用しておらず、情報は米海軍と共有している。つまり韓国は、米国から同じ情報を収集することが可能なのだ。

一方、韓国からもたらされる人的ルートによる情報は軍事に留まらず、北朝鮮の政治や治安、経済を含めた幅広い内容が含まれる。こうした人的ルートによる情報は敵国に潜入させた諜報員が収集していると思われがちだが、実はそのほとんどは経済活動やスポーツ、文化などの民間交流で相手国側と接触した「善意の一般人」によってもたらされるもの。

拉致問題や弾道ミサイル発射を受けての厳しい制裁を継続し、民間交流も細りきった日本にとっては、対北朝鮮政策を決定する上で「喉から手が出る」ほど貴重な情報なのだ。行きつ戻りつしつつもドナルド・トランプ米大統領が執念を燃やす朝鮮半島の緊張緩和から、日本は「置いてけぼり」状態になりつつある。GSOMIAが再延長されず北朝鮮の内部事情を探るチャネルを失う状況に陥れば、外交上の大失策となる致命的な判断ミスを招きかねない。

日本にとっては、韓国のGSOMIAの再延長拒否を「勝手にどうぞ」とは言えないわけだ。一方で韓国にとっても日本が熱望するGSOMIAの再延長を拒否すれば、これまで以上の経済報復を招くのは必至だけに簡単に結論は出せない。水面下でぎりぎりのせめぎ合いが続くことになる。

文:M&A online編集部

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