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【M&A相談所】優秀な右腕の役員に会社を譲りたい|MBO

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※画像はイメージです

その時、どうする?M&A相談所【経営者向け】

質問「当社には優秀な右腕の役員がいる。彼に会社を譲りたい場合、どうすれば良いでしょうか?」

私には会社を継ぐ子供はいませんが、当社には優秀な役員がいます。長年、私とともに会社を率いてきた彼ならば、親族にこだわるよりもはるかに素晴らしい事業承継になるはずです。私が引退する際には彼に会社を託したいのですが、どのように進めればよいか教えてください。(北海道 食品製造業 A・Hさん)

回答「MBO(マネジメント・バイ・アウト)が有効です。まず、後継候補の方の感触を確かめましょう。」

事業承継を検討されるオーナー経営者の大半は、親族への事業承継が難しい場合、第2の選択肢として社内の経営幹部への承継を検討してみましょう。経営幹部(マネジメント層)への株式売却(バイアウト)であるため、MBOと略される取引で、社外の第三者への株式売却(M&A)と区別されます。外部への売却よりも、まずは社内での承継が可能か十分にご検討いただきたいと思います。

▽ ▽ ▽

■ポイント1 経営幹部に承継するにあたり、オーナー経営者からの条件(株式譲渡額など)を整理する。

MBOは株式を経営幹部に売却する行為ですので、M&Aと同様に譲渡価額の算定や譲渡条件の提示が必要です。業績の良い会社だと企業価値が数億円になることもあります。

経営幹部の手元資金はそれほどないので、ほとんどのMBOはM&Aに比べて譲渡価額が安くなります。また、会社が融資を受けていれば、MBO後の連帯保証人は、経営幹部になります。事業を継げるか否かは、オーナー経営者や後継者候補の想いだけでなく、そういった条件やリスクを受け入れられるかが重要です。

■ポイント2 承継させたい経営幹部ご本人に承継して欲しい意図と条件を伝え、回答を聞く。

上記の条件を整理したうえで、経営幹部に会社の承継について打診してみましょう。経営幹部にとって承継を打診されることは、信頼の証でもありますから、嬉しいものだと思います。条件的に難色を示されることもあるかもしれませんが、まずは継ぐ意思があるかが大事です。

中には60代前半の経営幹部に打診したところ「私が継いでも、数年後には次の後継者問題が発生するので辞退したい。」という回答をいただいたケースもありました。

■ポイント3 経営幹部に承継させる具体的な筋書きを描き、実践する。

事業承継は、「資産の承継」と「経営の承継」の2つが必要です。資産の承継については、経営幹部個人に十分な手元資金がなくとも、金融機関から個人で借り入れたり、オーナー経営者も株価を下げたり、少し複雑ですがLBOという手法を使うこともできます。

経営の承継においては、本当に経営者として引き継げるかが大事です。オーナー経営者に求められる「器」や「重責」は、経営幹部とは雲泥の違いがあります。引き継ぐ過程でその部分も見定める必要があるでしょう。

多くのオーナー経営者の方から、事業承継MBOで検討している、というお話を伺うのですが、ほとんどの場合で「継いでくれると思う。」という想いのところで止まっていました。MBOは経営幹部の了承が必要ですし、条件やリスクの検討・調整には時間がかかります。まずは一歩を踏み出し、経営幹部の方とご相談されてはいかがでしょうか。

転載元:経営者のためのM&A情報誌「STRIKE」2019年1月号

M&A Online編集部

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