【滋賀銀行】京都・大阪への積年の攻勢|ご当地銀行のM&A

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滋賀県の南西端の県庁所在地、大津に立つ滋賀銀行本店

県内唯一の本店銀行のゆとりと強さ

第百三十三銀行の源流は1878年に設立した第六十四国立銀行であり、翌1879年に第百三十三国立銀行として分離設立した。その後、1899年に国立の名を外して第百三十三銀行となり、以後は、彦根商業銀行、高島銀行、寺庄銀行、淡海銀行といった湖北・湖東・湖南の私立銀行などをM&Aしていった。

一方の八幡銀行は1881年に設立され、1928年に近辺の江頭農産銀行を合併した程度で大きなM&Aはない。

1933年10月、滋賀銀行となって以降は、蒲生銀行、湖北銀行、柏原銀行、滋賀貯蓄銀行、近江信託といった銀行、信託など各種の形態の金融機関とのM&Aを重ね、滋賀県唯一の本店銀行となった。さらに、1999年には高島信用組合の一部業務を分割譲受している。

近江信託を合併した1945年以降、他に滋賀県内に本店を持つ銀行はないのだから、滋賀銀行は県内最有力地銀として事業の拡充を図った。なかでも、設立して間もない段階で京都・大阪に営業を展開している。京都支店を設置したのは1934年3月、大阪支店の設置は1941年。いずれも第二次大戦前から戦中にかけてであり、当時の一県一行主義という国の政策の実現したうえでの大都市への攻勢であった。

他行との提携を強化し、FinTechにもチャレンジ

また、2016年3月には滋賀県内の信金や信組、京都中央信金と、2017年12月には池田泉州銀行とATM無料相互開放を始めた。さらに、2022年1月からは、関西みらい銀行と池田泉州銀行の3行間の提携も進めている。

滋賀銀行は2019年に、千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、琉球銀行、群馬銀行が参加するTSUBASAアライアンスにも加わっている。

TSUBASAアライアンスとは、FinTech(Financ=金融とTechnology=技術の造語)に関する調査・研究を行うとともに、新たにFinTechを活用した金融サービスの企画・開発のほか、プラットフォーム「TSUBASA FinTech共通基盤」の開発・運営等を行う組織。有力地銀発のFinTech事業である。

県内企業の約6割(59.1%。2021年2月10日、帝国データバンク調べ)がメインバンクとしている滋賀銀行。県内で圧倒的なシェアを誇るだけに、他県・他地域に比べ現下の地銀再編の荒波に揉まれることは少ないかもしれない。だが、他県への進出となると一筋縄ではいかない。むしろ、京都中央信金、京都信金をはじめ“信金王国”といわれた京都の信金勢、大垣共立銀行をはじめ岐阜県西部の地銀も隣県に向けて営業を強化している。

琵琶湖を擁し、それぞれ独特の歴史を持つ都市が点在する滋賀県だけに、そうした隣県との金融攻防も見逃せない。

文・M&A Online編集部

M&A Online編集部

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