大学発ベンチャーの「起源」(50)  Smolt

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「鮭の最高峰」を宮崎のブランド食品に

意外だが、海に出るサクラマスはヤマメの中でも十分に成長できなかった個体だという。エサを求めて海へ出たヤマメは、河川よりも豊富な海洋のエサを食べて大型のサクラマスとなり、「鮭の最高峰」と称される高級魚となるのだ。同社は水槽を川に、生簀を海に見立てて、ヤマメを擬似的にサクラマスに育つ環境を人工的に作ることに成功した。

研究は冬季に育ちが悪くなるヤマメを水温が温かい海で育てれば大きくなるのではないかとの発想で、宮崎県五ヶ瀬町の養殖業者との共同研究でスタートした。その後、ヤマメを川と海、すなわち水槽と生簀に循環させることで、高品位のサクラマスを養殖できるようになる。

投資家からの期待も大きい。2019年12月には、GxPartners LLP(福岡市)や宮銀ベンチャーキャピタル(宮崎市)などを引受先とした第三者割当増資を実施している。養殖サクラマスからとれる金色のイクラを独自の出汁で味付けした「つきみいくら」は、2020年9月に予約を開始したところ同12月14日に完売するほどの人気商品に。投資家の期待に応えた。

3カ月で完売した「つきみいくら」(同社発表資料より)

2021年10月にはサーモンでも流通量わずか0.3%という希少なサクラマスを桜の葉でしめて味付けした「桜鱒の桜葉締め」をクラウドファンディングで発売するなど、宮崎県のサスティナブル(持続可能)なブランド水産品としての定着を目指している。

文:M&A Online編集部

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