大学発ベンチャーの「起源」(22) ボールウェーブ

alt

ボールウェーブ(仙台市)は東北大学発の超精密測定機器ベンチャー。同大学未来科学技術共同研究センター(NiCHe)の山中一司教授(現・名誉教授)らが開発したボールSAW(surface acoustic wave=弾性表面波)センサーの技術を基に、文部科学省の「大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)」と科学技術振興機構の「大学発新産業創出プログラム (START)」の支援を受けて2015年11月に起業した。 

半導体産業の高度化に必須となるセンサー

ボールSAWセンサーは計測器の水晶の表面に施した膜に超音波を流し、その伝達速度や波の大きさの変化からガスに含まれる微量な水分を計測する。産業界では半導体の急速な高集積化・微細化に伴い、製造過程で使う材料ガス中の不純物である残留水分が不良品の原因となるケースが懸念されている。

こうした超感度の微量水分計は大型で高価な光学式測定器しかなかったため、半導体工場の製造現場には導入できなかった。同社が開発した直径わずか3ミリメートルというボールSAWセンサーを利用すれば測定機器の小型化が可能で、半導体やリチウムイオン電池の製造ラインなどにも導入し、精緻な品質管理を実現できるという。

さらに水素ガスセンサーや手のひらサイズのハンディ・ガスクロマトグラフ(物質分離測定装置)も開発しており、政府が加速する水素社会の実現や環境の安全・安心対策にも寄与している。最先端の生産現場で必須となる超精密測定装置だけに、産業界からの期待も大きい。

ボールウェーブの微量水分計「FalconTrace Platinum FT-400WT」(同社発表資料より)

NEXT STORY

大学発ベンチャーの「起源」(21) Dinow

大学発ベンチャーの「起源」(21) Dinow

2020/11/28

Dinow(水戸市)は茨城大学発の医療検査ベンチャー。2020年3月に生体試料を用いた健康状態管理サービスを普及するために設立した。9月25日に大学から「茨城大学発ベンチャー」として公式に認定された。起業の原点は福島原発事故だという。