大学発ベンチャーの「起源」(49)  トウキョウアーチザンインテリジェンス

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トウキョウアーチザンインテリジェンス(横浜市)は東京工業大学発の人工知能(AI)ベンチャー。社長を兼務する同大学の中原啓貴准教授が開発した新しいコンピューテーション(計算)技術の創出とAI技術の社会実装を目指し、2020年3月に設立した。

AIをチップに実装し、スタンドアローンで動かす

主に深層学習アルゴリズムの研究開発やエッジAIプロダクトの開発・販売、AIエキスパート・エンジニアの育成などを手がける。主力事業のエッジAIは、ディープラーニング(深層学習)などを用いた AIアルゴリズムを、クラウドではなくエッジ(端末)側で実行する技術。

同社が取り扱うエッジ(端末)は、個別の用途に特化した専用チップ。クラウドとそれに接続するためのネットワークを必要とせず、すべての処理がエッジ(端末)で完結する。そのためインターネットやLANに接続できない環境でも、安定した動作が可能。つまり、あらゆる場所でAIを活用できる技術なのだ。

軽量・コンパクトで電力消費量も小さいため、ドローン自体ににAI機能を持たせるなどIoT(モノのインターネット)としての用途も広がる。さらに全ての処理がエッジ(端末)側で完結するため、カメラ画像などの情報を外部サーバなどに送信する必要がなく、個人情報保護にも役立つ。

2020年5月にマルハニチロと共同で、AIによる画像処理技術を使って養殖魚数を正確に把握するシステムを開発した。それまでは従業員が目視で確認しながら手動の計測器(カウンター)で数えており、2~3人で3~6時間かかっていたという。同技術の導入で、大幅な業務効率化とコスト削減を実現できるという。

2021年2月にはソリトンシステムズ<3040>や個人投資家などから8600万円の資金調達に成功するなど、投資家からの評価も高い。今後も成長が期待できそうだ。

文:M&A Online編集部

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