イノフィス(東京都新宿区)は、重作業での腰などへの負担を軽減させる装着型ロボットの開発・販売を手がける東京理科大学発ベンチャー。2020年9月28日には今後の活躍が期待される大学発ベンチャーを表彰する「大学発ベンチャー表彰2020」で、経済産業大臣賞を受賞した。

シーズではなく、ニーズに添って製品開発

同社創業者の小林宏取締役最高技術者は東京理科大学出身の工学博士。1996年に日本学術振興会海外特別研究員としてスイスのチューリッヒ大学に派遣されたのち、1998年に東京理科大学工学部講師、2008年には教授に就任した。装着型ロボットの開発は2000年にスタートした。

現在の主力製品である腰補助用「マッスルスーツ」は2006年から開発。2019年には機能と価格のバランスが優れている「マッスルスーツEvery」を発売し、2020年3月に累積出荷台数が1万台を超えるヒット製品になった。

重い荷物を体に負担をかけることなく持ち上げて運べるので、非力な人でも農業や介護をはじめとする力仕事が容易になる。人口減少社会で労働力として期待される高齢者や女性の活用や、人手不足で悩む現場での就業促進にもつながると期待されている製品だ。

イノフィスは「大学の技術をユーザーに売る」シーズ先行ではなく、「ユーザーニーズに大学が対応する」ニーズに添った製品開発がモットー。大学発ベンチャーにありがちな技術先行ではなく、現実の問題解決を目的にユーザーの困りごと解消を果たす開発に取り組む。

35億円超の資金調達に成功

そのために大学とのアライアンス(協業)体制を確立し、顧客からのニーズを製品改良に素早く取り入れるサイクルを実現しているのが同社の強みだ。顧客ニーズに対応して機能を最低限に絞り、価格を税込で14万9600円に抑えるなど、中小企業や農家が気軽に購入できるようにしている。

2019年12月にはハイレックスコーポレーション、Fidelity International、ブラザー工業、フューチャーベンチャーキャピタル(ロボットものづくりスタートアップ支援ファンドが引受)、ナック、TIS、東和薬品、トーカイ、ビックカメラなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、シリーズ Cで総額35億3000万円の資金調達に成功した。投資家からの注目度も高い。

文:M&A Online編集部