大学発ベンチャーの「起源」(26) PuREC

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PuREC(ピュレック、島根県出雲市)は、島根大学発の再生医療ベンチャー。同大の松崎有未教授が取り組む人間の骨髄由来の間葉系幹細胞を利用した再生医療の実用化を目指している。山陰合同銀行などが設立した産学連携ファンドから出資を受け、16年に元島根大学長の小林祥泰名誉教授を社長に迎えて設立した。

間葉系幹細胞で再生医療に挑戦

同社が研究する間葉系幹細胞は中胚葉性組織(間葉)に由来する体性幹細胞で、骨や血管、心筋といった間葉系に属する細胞への分化能をもつ。ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授が取り組んでいるiPS細胞と並ぶ、再生医療の有力な素材だ。

しかし、幹細胞には培養が難しいという問題がある。そこで同社は2種類の抗体を用いてマーキングし、培養能力が高い幹細胞を抽出する方法を開発した。一般的な間葉系幹細胞は1個の細胞が100万個ほどになったら増殖が止まるが、同社の手法で抽出した幹細胞は1兆個まで増えるという。

2021年には初の治験として、先天的に骨がうまく形成できない小児性難病の「低ホスファターゼ症」の再生医療に取り組む。

PuRECのビジネスモデル(同社ホームページより)

PuRECの技術を応用すれば間葉系幹細胞を安定的に大量生産できるため、再生医療のコスト削減につながるとの期待も大きい。同社は2019年に富士フイルムから3億円の出資を受けた。

2021年2月1日には患者が多い椎間板ヘルニアの再生医療に応用するため、北海道大学大学院医学研究院や持田製薬と脊椎関連疾患の新治療法についての共同研究をスタートしている。PuRECが間葉系幹細胞を、持田製薬が生体組織の修復材として臨床試験を進めているゲル状の高純度アルギン酸ナトリウムを、それぞれ北大に提供して新たな治療法を探る。

同4日には「JHVS(ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット)2020 Venture Award」を受賞している。2020年10月に横浜市で開かれた「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2020」で実施した高純度間葉系幹細胞(REC)の臨床適用についてのプレゼンテーションが高く評価された。PuRECが取り組んでいる再生医療への期待は大きい。

文:M&A Online編集部

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