[国税徴収法] 「M&Aでも要注意! 第二次納税義務」
節税ヒントがあるかもブログのメタボ税理士さんが第二次納税義務について実際の判例を基にご紹介します。
長くなりましたが、話を判例に戻します。
現実のM&Aの場面では、前回ご紹介した事例のようなケースがモロに出てくることはあまり無いとしても、考え方は参考になると思います。
前回の記事は、こちら (https://maonline.jp/articles/nijinouzei0353)
M&Aや事業再生の実際の場面ではグッドバッド方式と言って、一つの会社にあるグッド部門(業績好調な部門)とバッド部門(業績が悪い部門や負債)を切り離して、事業再編を目指すことがあり得るのです。
その場合、バッド部門に残される債権者や利害関係者は損害を受けることがありますよね。もちろん、そのような手法を行うに当たっては、いわゆる「詐害行為」(さがいこうい。債権者の利益を害する行為)や、「偏頗弁済」(へんぱべんさい。特定の債権者だけに返済利益を与える行為)などにも抵触しないように配慮する必要がありますが、特に国税などの債権者がいる場合は、国税徴収法に規定する「第二次納税義務」についても検討すべきです。
[税大講本 国税徴収法 第二次納税義務]
https://www.nta.go.jp/ntc/kouhon/tyousyu/ には、
「第二次納税義務は、納税者の財産において滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、徴収法第33条~第39条及び第41条に規定する一定の要件を満たす者に補充的に納税義務を負担させる制度である」
と記載されています。
例えば、
・ 無限責任社員の第二次納税義務
・ 清算人などの第二次納税義務
・ 同族会社の第二次納税義務
などがあり、本件で問われたのは「無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務」です。
(詳細はhttps://www.nta.go.jp/ntc/kouhon/tyousyu/pdf/06.pdf#page=1をご参照ください)
本件での特徴的な部分として留意すべき事項は、
① 第三者割当増資に応じた新株主も国税徴収法39条の「利益」を受けた第三者と認定され、第二次納税義務を有する可能性があること。
② 国税の評価といえど、課税の場面における株価と、徴収の場面における株価が異なる可能性がある(課税の場面では財産評価基本通達その他の通達などを適用する可能性もあるが、徴収の場面ではそうとは限らないということ)。
いずれも、実際のM&Aや事業再生の場面でも検討の必要性が生じるケースがあり得ると思うのです。その意味では参考になる裁決事例かと思います。
下記は「国税徴収法 第二次納税義務」の関連条文です。ご興味のある方のみお読みください。
節税ヒントがあるかもブログのメタボ税理士さんが第二次納税義務について実際の判例を基にご紹介します。