「企業の税金負担」

※この記事は公開から1年以上経っています。
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 今回は、税効果を適用した上での企業の税金負担率について考えて見たいと思います。

1.世界的には法人税率は低下傾向

 日本の世界的な競争力が衰えている一因としてやり玉に挙がるのが、日本の法人税率は高い、という主張です。現行は23.9%ですが、昨年12月に閣議決定された「平成28年度税制改正大綱」によると、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から23.4%、さらに2年後の平成30年4月1日以後に開始する事業年度からは23.2%となる予定です(この3月の法律改正待ち)。そうすると、法定実効税率(標準税率ベース)では今年度32.11%であるのが、次年度では29.97%と30%を切り、そして平成30年度からは29.74%とまた少し下がることになります。

 財務省公表の国際比較データだと、先進国ではアメリカ(カリフォルニア州)が40.75%と日本よりかなり高く、フランスは33.33%と日本と同等、ドイツは29.66%と30%を切っていますが、日本だけが極端に高い1人負けの状況ではないと思われます。ただ中国は25%、韓国も同様に24.2%と低く、イギリスは20%と先進国ではかなり低い税制となっています。シンガポールは17%と香港と並んで低く、両国とも法定実効税率の恩恵だけではないですが、政策的に金融や運輸で世界中から資本を呼び込む仕組みになっていることは、皆さんご承知の通りです。

 ただ税率が低い方が企業としては好ましい訳で、日本も法定実効税率を引き下げることで、日本の企業の競争力を高めるとともに、海外の企業を呼び込んで経済を活性化させる理屈で、今回初めて30%を切る税制改正がなされようとしているのだと思います。

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