ヤフーのM&Aをめぐる追徴課税は何が問題なのか?

 ヤフーは、M&Aをめぐる赤字の算入に関連した訴訟で敗訴が続いているようだ。どのような訴訟で、どういった争点があるのだろうか。畑中孝介税理士に聞いた。

 訴訟の事実関係の概要をまとめると次のとおり。

 2009年ヤフーは、約540億円の繰越欠損金のあるソフトバンクのグループ会社(ソフトバンクIDCソリューションズ、以下IDCS)をソフトバンクから買収、その繰越欠損金を算入したが認められず、追徴課税が行われた。訴訟はそれに対する取り消しを求めたというもの。

 では、何が争点となっているのだろうか。「株式持ち分50%以下の企業を合併した時の租税要件となる『共同事業要件』を満たしたかどうかをめぐって争っています」と畑中税理士は説明する。

「共同事業要件」とは、株式持ち分50%以下の企業を合併した場合でも、その企業が持つ繰越欠損金を合併後に算入するための条件のこと(なお、株式50%以上を5年以上保有していれば、繰越欠損金の算入は認められている)。

「共同事業要件としては、合併を行う企業同士の事業が相互に関連していること(事業関連性要件)や、合併される企業の経営者が合併後の会社でも役員としての実体があること(特定役員引継ぎ要件)などが税法上で定められています。これらが満たされなければ、赤字の算入は認められていません」(畑中税理士)

 そもそもなぜ、このように要件が厳格化されたのかについて、「01年前後のライブドアやグッドウィルなどによる租税回避を目的としたと見られる合併が横行したこと」(畑中税理士)が挙げられるという。

 当時、ライブドアやグッドウィルは大きな赤字を抱える小さな企業の買収を頻繁に行い、合併後は対象企業が行っていた事業をやめ、関係する人員を解雇するなどした。赤字を買う、つまり「節税のためだけ」の合併を行ったといわれている。

「このような合併を防止するために『共同事業要件』は徐々に厳格化、その要件を満たして初めて、繰越欠損金の算入を認めるようになったのです」(同)。