保険の勘違い!
法人契約の生命保険に入れば、「税金対策」になる

正しい考え方は!
「税金対策」ではなく「利益の繰り延べ」になる

税理士・小林先生の見解

 損金算入できる生命保険をかけることで利益を圧縮し、支払う税金を減らしていると思い込んでいる会社は多いだろう。
だが、よくよく考えてみると不思議である。なぜ、このようなあからさまな税金対策を国が認めているのだろう?

 すべての会社がこの方法で法人税収を大幅に圧縮すれば法人税が激減してしまうではないか。国の様々な政策に悪影響を及ぼすはずである。それどころか、国が滅びかねない。
実は、損金算入できる法人保険は「税金対策」にはならない。
法人保険は「利益の繰り延べ」である。これにより、保険に加入することで納税のタイミングを自分で決めることができる。

 保険に加入している期間は、損金計上しているわけだから、たしかに税金対策としての効果がある。しかし将来、解約した際には雑収入として利益計上して課税される。
だから、この仕組みを国は認めているのだ。

 では、「利益の繰り延べ」は、保険に加入している法人にどのような効果をもたらすのだろうか?
最も単純なことでいえば、一度払ってしまった税金は返ってこないが、保険によって利益の繰り延べをすれば、簿外に利益を積み立て、様々なリスクに対応ができる。
また、税金は払ってしまえば終わりだが、保険は加入している期間、保障がある。たとえ、後で同じお金を払うとしても、これがあるのとないのとでは大違いである。

 さらに、最近の「法人税引き下げ」の政策の流れは、利益の繰り延べをすることでプラスになる。今回の税制改正では、法人税の引き下げが決まり、数年以内に実効税率が34%(全国平均)から31%まで下がることが決定された。さらに、将来的には、20%台も視野に入ってきた。法人税が下がるほど、利益の繰り延べをした方が負担が軽くなる可能性がある。だが、税率は半分や10分の1になるわけではない。今回の税制改正でいえば、34%から31%と数%の下げ幅だ。この税率の引き下げ効果以上に、保険の保障コストがかかってしまえば、結果的に利益を減らすことになってしまう。

 保障コストになるのは、「掛け捨てをする保険料」部分である。そのため、損金になるからといってやみくもに加入するのではなく、掛け捨て部分の少ない「解約返戻率が高い商品」を選択すべきだ。

 併せて、この解約返戻金を発生させる時に、まとまった資金が必要となる「役員退職金の支払い」「大型設備投資」「老朽化した設備の修繕」などを同じタイミングで実施すれば、結果的に解約返戻金が圧縮される。それにより、繰り延べではなく、「結果的に税金対策と同様の効果」が得られる。

 実際に、このような効果を得るには、契約する時点で計画を立案してから実行していくことが求められる。
特にポイントとなるのは、解約返戻率のピーク(返戻率が一番高い時期)と、まとまった資金が必要となる事柄(役員退職金や大型設備投資等)を同じタイミングで実施しなければならないという点だ。当然のことだが、保険を解約すれば、万一の際の保障もなくなる。

 もし引き続き保障も必要であれば無診査(健康状態を問わず)で保障を残せる方法もあるので、検討するべきだろう。
ただし、これらの施策を間違いなく行うには、経験の多い税理士など、専門家の力が必要だ。

保険の勘違い!
どの会社の生命保険に入っても大差はない

正しい考え方は!
同じような保険商品でも返戻金が1割違うことも

税理士・小林先生の見解

 日本の金融は護送船団の横並びで、銀行の金利も、生命保険や損害保険の保険料も一律という時代が長く続いてきた。
だが金融の自由化によって、はじめて競争原理が導入され、少しずつではあるが保険会社ごとに差がでてくるようになってきている。

 とは言え、保険の世界は金融庁の比較広告自粛の指導もあり、ほとんど「相見積もり(あいみつ)」をとることが行われていなかったのが実状である。
「生命保険」に関して言えば、現時点で保険会社によって扱う保険商品や保険料・解約返戻率にかなりの差がでてきている。会社で加入する生命保険の場合は、保険料が高額になるケースも多い。同じような保険商品でも保険会社によって、例えば「返戻率が1割違う」ということもある。
仮に、年間保険料500万円で15年間続けた場合、実に750万円もの返戻金の差となってしまうので要注意だ。

 現在、日本には40社を超える生命保険会社があるが、その中から、加入目的にあった最高のパフォーマンス(保険料や返戻率)の商品を選ぶべきだろう。
乗り合い代理店(複数の生命保険商品を同時に扱う代理店)を有効に活用するのはもちろんのこと、その商品を提案する根拠を明確に提示できているかが選択のポイントといえる。

保険の勘違い!
医療保険は個人で加入しているから大丈夫

正しい考え方は!
法人で加入して払込を完了し個人に名義変更が合理的

税理士・小林先生の見解

 個人で医療保険に加入されている社長は多いだろう。ただし個人の保険は、すべて「可処分所得=税負担後」という足枷がある点を考慮すべきだ。毎月10万円の保険料を負担しているのであれば、これを払うには役員報酬が20万円必要となる(所得・住民税合計50%の場合)。

 これに比べ法人契約は、損金処理できる税制上のメリットがあるので、「経営者は法人で医療保険に加入したほうがいい」と言える。
ただし、医療保険に法人で加入した場合、給付金は法人が受け取る形になるので注意が必要だ。この場合、入院により、売り上げ・利益減少などを補えるものの個人が入院で自己負担した額を全額補填(ほてん)できるわけではない。法人が受け取った給付金を個人に支給する時の費目は「見舞金」であり、限度がある(一般的には5万円~10万円)。
この問題を解決するには、当初法人で加入して短期間で払込を完了し、その後個人に名義変更する方法がある。そうすれば、その後の保険料を払わずに補償が受けられる。

 名義変更の際には、その時点での医療保険の解約返戻金で会社から個人が買い取る形になるため、解約返戻金がほとんどないタイプの医療保険であれば個人負担はない。

編集:M&A Online編集部

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