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【戦略的マイノリティー出資のPMIのポイント】そのマイノリティー出資、絶対に譲れないものは何ですか?
前回記事で「マイノリティー出資におけるPMIのさじ加減は相手と“両想い”か“片想い”かによって全く異なってくる」とお伝えした。では、どのようにして“両想い”か“片想い”かを見極めるのか。プレPMIの段階で留意すべきポイントを述べたい。
それでは強力な人的関係がない場合はどうするか。 Win-Winの関係構築が出資時点で出来上がっていることはほとんどないだろう(出資前から協業関係があった場合を除いて)。マイノリティー出資は、本当にその相手とWin-Winの関係が築けるかを検証するものでもある。従って、マイノリティー出資におけるPMIとは、Win-Winの関係性があるかを検証・構築していくものとも言える。
しかし、実行部隊の当事者意識の不足により、Win-Winの関係性を検証することすらままならないこともある。その要因としては、下記のようなことが挙げられる。
・現場の実行部隊に、出資や協業の意図が浸透していない
・シナジー創出のための活動をしても、実行部隊の評価体系の中では、得られるメリットが少ない
(Ex. 業績連動型の報酬体系で単年度利益のみで評価される場合に、「シナジー創出までに3年かかり、それまでは赤字」、というプランを持っていっても受け入れられない)
これに対し、検討段階から実行部隊を巻き込むことや、協業のインセンティブを持たせる評価体系を設計しておくなどが打ち手として考えられる。さらに、PMIにおける分科会設計・運営やクイックヒットの早期創出などにより、Win-Winの関係構築の素地を整えていくことが必要となってくる(詳細は次回以降)。
4月末、SBI証券とSMBC日興の資本業務提携が発表された。ネット証券のSBIと対面に強みを持つSMBCが相互補完し、競争力を高める狙いだ。2月半ばからの交渉開始でトップどうしのコネクションからスピーディーな決着に至ったとされる。
今後の成否のカギは、どれだけ現場を巻き込んだ協業を推進できるか、ではないだろうか。まず現場が動かなければ、本当にWin-Winの関係構築できるか否かを検証することすらできない。
文:MAVIS PARTNERSマネージャー 井上舞香
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前回記事で「マイノリティー出資におけるPMIのさじ加減は相手と“両想い”か“片想い”かによって全く異なってくる」とお伝えした。では、どのようにして“両想い”か“片想い”かを見極めるのか。プレPMIの段階で留意すべきポイントを述べたい。