【税務】国税庁、株式交付制度に係る通達の趣旨説明を公表

alt
財務省・国税庁(東京・霞が関)

 国税庁は、株式交付制度に係る通達の趣旨説明を、法人税について本年7月21日、所得税について本年10月20日に、それぞれ公表しました。

 令和3年度税制改正により、株式交付子会社の株主が株式交付によりその有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合、仮に株式及び金銭の混合対価の交付を受けたとしても、対価として交付を受けた資産の総価額のうち株式交付親会社の株式の価額が 80%以上であれば(「8割要件」)、株式譲渡に係る譲渡損益の繰延べを受けることが規定されました(株式交付制度に係る税制の概要については、当事務所の TAX LAW NEWSLETTER 2021年4月号(Vol.46)をご参照ください。)。

 法律上8割要件の判定の基準時は明らかではありませんでしたが、通達では原則株式の交付を受けた時点の株式の価額により 8 割要件の判定を行うこととしつつも、課税上弊害がない限り、株式交付計画書に定められた算定方法における算定基準日の株価を基礎として合理的な手法により算定される価額により判定することができるとも規定されています。趣旨説明によれば、株式交付計画を策定した時点では8割要件を満たすことが想定されていたものの株式交付時点では8割要件を満たさなくなっていた場合に、譲渡損益の繰延べが受けられないとすると、株主は課税関係についての予測可能性が保てなくなることから、当該通達が定められたとされています。

 また、株式交付子会社の株主に交付する株式交付親会社の株式に1株未満の端数が生じる場合において、1株未満の端数に代えてこれに相当する金銭を交付した際、8割要件の判定上、株式交付親会社株式の交付割合が下がり、金銭の交付割合が上がることになるのか取扱いが不明確でした。通達及び趣旨説明においては、1株未満の端数に代えて金銭を株式交付子会社の株主に交付した場合であっても、当該株主において株式交付親会社の株式の交付を受けたものとして取り扱うこととされました。

 今般公表された趣旨説明を踏まえ、株式交付制度が今後どの程度利用されるのか引き続き実務動向を注視する必要があります。

<参考資料>
「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/210625/index.htm
「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/0021010-044/0021010-044.pdf

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 原田 昂

森・濱田松本法律事務所 ClientAlert 2021年12月号 vol.96より転載

森・濱田松本法律事務所

森・濱田松本法律事務所は、国内案件・国際案件の双方において、 高度の専門性と豊富な経験・実績を有する大規模法律事務所です。 常にクライアントの皆様の期待に応え、「選ばれる事務所」であり続けることを目指しています。


NEXT STORY

【適格合併】従業者引継要件の判定(名古屋国税局への照会事例)

【適格合併】従業者引継要件の判定(名古屋国税局への照会事例)

2019-03-27

共同事業を営むための適格合併の要件の一つである従業者引継要件に関し、名古屋国税局への照会結果が公表されていますので、ご紹介いたします。